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昨日、山崎あおいさんの札幌LIVEを観てきました。
「一人でステージに立つ」となると、「元祖ギタ女」なあおいさんなら全編弾き語りを想像してしまいますが、そうではなく「トラックを流しながらギターを置いて歌う」「トラックを流しながらギターも弾いて歌う」「弾き語り」の3パターンをそれぞれ同じくらいの配分でやられていました。中でも最新アルバム『Update』からの曲が実に刺激的で、生で体験する歌の世界とトラックの音響の素晴らしさに圧倒されました。
Newアルバム『Update』のタイトルそのままに、最新型にして、完全型の山崎あおいのスタートとなる時期に、彼女の地元である札幌でのライブを体験出来たのは、一あおいファンとして非常にラッキーでした。
あおいさんのデビューは2012年。ってことはもう14年になるのですね。
今回『Update』と同時リリースされた初期作品のセルフカバー集『Unplugged days』に収められている初期名曲たちをあらためて今の彼女が歌うのを聴くと、山崎あおいがいかにメロディメイカーとして突出しているかがよくわかります。オーソドックスなコード進行に、実に素直で美しいメロディが乗せられていて、きっとピアノの鍵盤でメロディをたたいただけでも、自然にハーモニーが聴こえてくる、それって実に「音楽的」ってことだと思うんです。
初期作品の歌詞に関しても、後年、あらゆる変化球をも駆使してヒットチャートを駆け抜ける「作詞家」になる、彼女のそんな片鱗をあちこちに見ることも現在の視点から聴くと可能ではありますが、後進の音楽家のみなさんに注目してほしいポイントは、彼女は初期の段階で、あらゆるパターンの「歌詞」にチャレンジし、すでにオーソドックスなものを書く力を完全に身につけていたということ。
ありていに言ってしまうと「基本」をしっかりと身につけていたんです。
『Update』では、トラックメーカーとのコライト楽曲が増え、彼女は「トップライナー」としてソングライティングに参加する楽曲が多くなっています。コライトとは「ギターを弾きながらメロディを探し、そこに歌詞をつけていく」これまでの作曲法と違い、「トラックメーカーからもらったトラックにメロと歌詞をつける」という手法が主。すでに現代のポップスのオーソドックスな手法となっています。(成瀬の新作『動く唇』もトラックを先にいただき、そこにメロと仮歌詞を乗せて完成させました)
例えばこの『Yellow number』。メロも歌詞も、トラックの流れに沿ってトラックの中にすでに潜んでいる「メロディと言葉」を、彼女は注意深く、傷をつけないように掘り出して、僕たちに聴かせてくれます。スチャダラパーの名言に「オレって何にも言ってねえ」ってのがありますが、まさにそれ。あおいさんは「何にもやっていない」くらいに「さりげない言葉とメロディ」で、空前絶後のキャッチーさを表現するのです。これは、ポップスという音楽を愛し抜き、その本質が一体何なのかを考え抜いた人にしか出来ないことなんです。
(アマチュアの作家は「オレの手で何かしてやろう」と考えてしまう人が多いのです。「何でもない」ように見えるほどさりげない言葉やメロディがポップスの本質であることが理解できさえすれば壁は越えられると思うのですが)
初期の楽曲でソングライティングの基本を身につけ、作詞作曲家としても数々の作品をヒットチャートに送り込むキャリアの中で、彼女がたどり着いた『Update』という地平は、そのまま、平成から令和への「J-POP」の変化を見せてくれる大傑作なのです。嘘だと思うなら、まずこの『Yellow』から聴いて、アルバム『Update』も聴いてみて下さい。きっとあなたになら、僕が言うことにご賛同いただけると思うんだ。
僕は今年56になります。同世代の音楽家たちに、共にヒットを作りこの時代に通用するポップスを作るべく切磋琢磨する仲間がいなくなってしまった。これは本当に寂しいことなんです。我々の世代が体験してきた音楽の文化と現代のそれは決定的に変わってしまったように感じることに異論はありません。確かに僕も日々「Update」するために必死であります。
やっぱね、今の時代のヒットを狙わないと僕は「おもんない」ねん。ポップスのクリエーターの端くれとして、僕は常々そう思っています。
終演後の慌ただしい楽屋で、あおいさんは実に「あおいさん的」な笑顔で「成瀬さん、来ていただきありがとうございました」と迎えてくれました。「またぜひ、作曲でご一緒したいです」とも言ってもらえて。ありがたいことです、これほどまでにアップトゥデイトな音楽家にまた一緒にやりましょうって声をかけてもらえるなんて。そう、僕の中ではいつも「山崎あおい」はファーストコールです。実は今年もいくつかの作品でご一緒させていただいています。これからもまた、一緒に作曲が出来ることを楽しみみしたいと思います。
突きつめて考えるなら、「我々の世代が体験してきた音楽の文化と現代のそれ」は何ら変わらない、一本の道でつながっているんです。昨日のライブを終え、札幌の街を歩きながら、僕はそんなことを考えていました。山崎あおいさんが2時間歌ったShowを観て、僕の胸は希望と確信があふれ出して来たんです。結局、何にも変わってないやんか、って。僕が信じた「ポップス」はしっかりと彼女の中にあって、これからも生き続けることに。
あと、「歌」ね。歌い方、試行錯誤の中でついに見つけた彼女だけのオリジナルなヴォイスに、僕は心から感動し、何度か涙をぬぐってしまった。こと「歌」に関しては、彼女は信念の人だし、努力、根性の人。一回だけ語彙力を放棄して言わせてもらうなら、「あおい、マジすごい」。
お疲れ様です!
今日も配信でご挨拶させていただきます。昨日のZoomミーティングの振り返り(最近好評なんですよこれが)から、昨日食事した音楽仲間との近況や、歌詞プロジェクト『アトラクション ’77』の新章のご提案、On The Beachのライブのことなど、盛りだくさんの約60分予定!
2024.10.12(土)@原宿クロコダイル
THE SHAKES presents
伴慶充生誕祭 “この気持ちはOK”
開場18:00 開演19:00
予約4,000円 当日4,500円(共に+d)
ご予約はこちらへ
出演
THE SHAKES
(黒水伸一/黒水厚二/伴慶充/信夫正彦/イマムラタカアキ)
信夫正彦with伴慶充
On The Beach
(成瀬英樹/nelo/岸田小石/伴慶充/矢舟テツロー/石河美穂)
おはようございます!
昨日は突然の配信にお付き合いいただきありがとうございました。アーカイブの再生数も二度見しちゃうくらいの数で嬉しい驚きであります。今夜までの限定公開なので、お見逃しなくですよ!
おかげさまでいい曲が出来まして、コライトのパートナーさんにも大絶賛いただきました。彼曰く「成瀬さんはずっとゾーンに入っている状態だと思います」とのこと。さすがに褒めすぎですってば、と思いますが、確かにキャッチーなメロディをつかまえることが苦もなく出来ている感覚があります。さあ、彼がどう仕上げてくれるのか、とても楽しみです。
そして、マツダヒロくんとは、メロディメイカー同士のコライトを勧めてます。二人が持ち寄ったメロディを合わせて勝負します。これも楽しいんだよね。
どちらにしても、僕たち作曲家はこうしてチャンスをいただけることが一番ありがたいこと。思う存分、手応えのある楽曲をプレゼンさせてもらいます。
『百年の孤独』を読み終えました。この夏の、いや、人生の課題図書。56回目の夏にしてようやく完走いたしました。僕は決して文学マニアでもなんでもないライトな読書家ですが、やはり歴史に残る大作は人生において体験しておきたいと思う。これ、決して読みやすい本ではないので、最初の数十ページをぐるぐる回るところを抜け出すまでにやや時間がかかりましたが、半分を越えたくらいからエグなって来ましたわ。もうそこからは、電車の中はもちろん、入浴中も、家事をしながらも読んでました。
一昨日は夜更かしして読みこんで、少し寝て昨日朝からまた読んで。午後にレッスンを終えてまた読んで。夕方に急遽コライトすることになって。トラックは19時までに届けてくれるとのことだったので、それまでの時間、最終コーナーはじっくり回ってゴールしました。
おもしろかったか? いやあ、それはもう。トラウマになるくらい。実はもう一度頭から読み直してます。
今日は朝早く起きて、ラジオ収録の仕込みをしました。特集のいいアイデアが浮かびました。今日の札幌の空は、青空に浮かび風に吹かれる、いろんな形の雲が楽しめます。思い切って10時半のバスに乗ってエスコンに来てみました。屋根が開いてます。明後日の先発とおぼしき北山投手が、外野の芝の上で少し強めのキャッチボールをしていました。
この美しい野球場のスタンドで、芝の匂いを感じながら、ゆっくりいろんな文章を考えています。今夜、一つお知らせをしますので、みなさんぜひ、拡散や応援、よろしくお願いします。