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2026年のビー・バップ・ア・ルーラ
BINGO Songwriting Club 「成瀬英樹ゼミ」 メンバー マイソングプラン
成瀬英樹
成瀬英樹
5月21日 9:10

ぼくは昨日

我が青春のトアウエストを歩いていた

若い日の匂いがまだ壁にしみついている街

古着とビールと坂道と

何者でもなかった頃のぼくが

今もどこかの角を曲がっていく街

 

モダナークカフェで

昼飯を食べようとしただけだった

ただそれだけだった

でも人生はいつも

ただそれだけの顔をして

思いがけない扉をひらく

 

そこにキルさんがいた

 

ジャンクショップのキルさん

神戸の古着屋のキルさん

二十歳で店を始め

四十年以上

街の速度に流されず

自分の場所を守り続けてきた人

 

ぼくが十代の頃

トゥーストゥースで皿を運び

コーヒーの匂いと若さの無謀さの中で

まだ何者でもない自分を

必死に何者かにしようとしていた

その頃の景色とつながっている人

 

キルさんは

神戸の時間を知っている人

古いビルの階段みたいに

静かにたくさんの物語を抱えている人

 

ぼくらは話した

笑った

抱腹絶倒の昼だった

笑いすぎて

昨日までの不安が

いっときだけ

コップの底に沈んでいくようだった

 

そして結局

ランチまでご馳走になってしまった

ありがたい

ほんとうにありがたい

人から受け取るやさしさというものは

なぜこんなにも

胸の奥を弱くするのだろう

 

ホテルに戻り

ぼくはラジオを録った

ビジネスホテルの小さな部屋で

声を整え

言葉を並べ

音楽を届けるために

ひとりで小さな放送局になった

 

どこでも仕事ができる

どんな場所でも作品が作れる

ありがたい時代だ

ありがたいけれど

だからこそ

逃げ場がない時代でもある

 

自分の責任で

自分の裁量で

自分のアイデアを

そのまま世に問うことができる

 

それは自由だ

それは幸福だ

それは同時に

恐ろしいほど孤独な自由だ

 

ラジオ番組一本だって

ぼくにとっては作品だ

ただの喋りじゃない

ただの選曲じゃない

ただの時間つぶしじゃない

 

足掛け十年

守ってきた場所がある

 

どんなに忙しくても

どんなに場当たり的に見える夜でも

そこだけは

丁寧に

丁寧に

丁寧に

手を抜かずに作ってきた

 

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そして、神戸
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成瀬英樹
成瀬英樹
5月20日 19:02

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東京Days 2026年5月(超長文注意)
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成瀬英樹
成瀬英樹
5月18日 9:57

5月11日(月)

 

先週から、怒涛の締め切りの日々が続いている。

 

朝早く新千歳に向かい、今回も泊めてもらう娘のために北海道土産をいくつか見繕い、搭乗手続きを早めに済ませた。1時間半ほどMacに向かって仕事。昼前の飛行機で成田空港へ。快適なフライト。成田から都内へ移動し、東京駅のスタバでデカフェのカフェミストを飲みながら、Macに向かう。それにしても、どこでも仕事ができるというのは本当にありがたいことだと思う。

 

娘と市ケ谷駅で待ち合わせ、彼女の部屋の鍵を受け取る。

 

飯田橋方面にあるスタジオに着いたら、光さんはすでに到着していた。僕が作詞作曲し、光さんがアレンジした作品の歌入れを2曲。その場で冒頭の歌詞の変更の提案があって、「ちょっと待ってくださいねー」とか言いながら、その場で鉛筆でコリコリ歌詞を書いたり。いつもながら、なかなか楽しい現場。激動のスケジュールの中、バッチリ歌を決めていくシンガーさんと、的確なボーカルディレクションをするA&Rさんのお仕事ぶりを後ろで見ているだけで楽しい。

 

光さんの車で高円寺方面まで送ってもらう。あえて話題にはしなかったけど、「ザ・レモン・ツイッグス」の新作を聴いていて、さすがだなと思った。

 

小さな会社をやっている身として、光さんを忙しくするのが僕の仕事だと思っていたが、本当に今はたくさんのお仕事をいただいている。ありがたいことです。僕自身、石崎光さんのサウンドの大ファンなので、「光色」に染められた楽曲がたくさん生まれることを、そして時に僕もその一部であることを、とても嬉しく思っている。

 

夜、帰ってきた娘から、彼女が自主出版したエッセイを受け取る。友人と「文学フリーマーケット」に参加するために、1週間で書き下ろしたそう。「中央線・望途」というタイトルで、中央線のそれぞれの駅にまつわる話を、娘の視点から描いたもの。

 

さっそく読ませてもらったが、さすが文学マニア。「自分の文体」がしっかりとあるので、何を題材にしてもしっかり読ませる。僕はずっと声を出して笑っちゃってました。BINGOでも販売するから、ぜひ購入してほしい。「国立」の項と「西荻窪」の項は無料公開の許可も取っているので、まずはそれを読んでもらおうと思う。

 

大丈夫ですよ、本当に面白いから。

 

5月12日(火)

 

娘の本を読んで、荻窪に行きたくなった。あの頃よく一緒に遊んだ当時の人気女優「さっちん」の行きつけのカフェは、30年たった今も営業中だったので、行ってみた。マスターも奥さんもお元気で、ランチもコーヒーも美味しくいただく。フォートリのプロデューサーだったTさんは、さっちんと結婚していた時期もある人で、僕たちをデビューに導いてくれた方だが、数年前に病で亡くなった。お二人にそれを伝え、さまざまな話に花が咲く。

 

何より、あの夢か幻のように過ぎ去った日々について、克明に覚えていてくれる人たちがいることに安心を覚えた。さっちんの話を笑いながらできる人となったら、本当に限られてくるから。Tさんはもういないのだし。

 

そう言えば、Tさんがさっちんと別れた夜、西荻窪に呼び出されて、朝まで付き合ったなあ。

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配信します!
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成瀬英樹
成瀬英樹
5月10日 18:54

メンバーのみなさん!


日曜の夕暮れ時、成瀬のゆるい配信と最高の音楽でお過ごしください!

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長い手紙を書くように
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成瀬英樹
成瀬英樹
5月10日 11:44

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