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【成瀬ゼミ生向け資料】
メジャーリーガーに学ぶ「コンペを生き抜くクリエイターの思考法」
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メンタル運用:「不採用」で落ち込まないための防具
音楽コンペの勝率は、プロであっても決して高くありません。どれだけ素晴らしい曲を書いても、アーティストの気分やレーベルの急な方針変更など、「自分ではどうにもならない理由」で落とされることがあります。
菊池投手がメジャーリーグの過酷な登板(中4~5日)で最重要視しているのが、「いかに落ち込まないか」です。合言葉は「目標は高く、期待は低く(ダメでもともと)」。世界基準の楽曲を作るという高い理想を持ち、妥協なくアレンジを詰める(悲観的に計画・準備する)。一方で、いざ提出したら「どうせ今回は見送りだろう」と結果への執着を手放す(楽観的に行動する)。この切り替えこそが、次々と曲を生み出し続けるための防具になります。
理想・楽曲のクオリティ目標
【高く】妥協しない。リファレンスを徹底分析する。提出までは細部までこだわり抜く。
【低く】コンペ結果に対する自分への期待値は「ダメでもともと」。提出後は忘れ、すぐ次の曲へ向かうことで落ち込みを防ぐ。
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目標設定:「採用数」をKPI(目標)にしない
「月に1曲採用される」といった、相手のジャッジに依存する感情的な目標設定は、成長を阻害し、挫折の原因になります。菊池投手が「何勝したい」ではなく、「奪三振を増やす」「四球を減らす」といった自分次第の数字を目標(KPI)にしたのと同じ考え方を持ちましょう。
コンペにおいては、自分が100%コントロールできる「行動(プロセス)」だけを目標に設定します。
× 自分がコントロールできない結果(ここに目標を置かない)
コンペの採用/不採用
クライアントの好みや判断
他作家の楽曲クオリティ
○ 自分が100%コントロールできる行動(ここを目標=KPIにする)
提出期限の2日前には初稿をアップする
月に○曲、必ずコンペに提出する
毎回、これまで使ったことのないコード進行やプラグインを1つ試す
リファレンス曲のBPMと構成を書き出してから作り始める
自分で決めたプロセスをやり切ったという自負があれば、コンペに落ちたとしても「自分のKPIは達成した」と胸を張ることができます。
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制作の指針:スランプを抜ける「直感とデータの使い分け」
メロディが浮かばない、アレンジに行き詰まる。そんなときは、菊池投手の「迷わないときは直感に従う。迷った時点でそれは直感ではない。だからデータに切り替える」というルールを適用しましょう。
才能やセンス(直感)だけで戦い続けると、引き出しが空になったときに必ず筆が止まります。迷いが生じたら、すぐに「データ(音楽理論、ヒット曲分析、アナリティクス)」に頼る。そうすることで、スランプを論理的に突破できます。
今のメロディや展開に「迷い」はあるか。
【NO(脳内で鳴っている/ノっている)】
直感に従う。自分の感性と初期衝動を最優先する。
【YES(次の一手に悩む/違和感がある)】
データに切り替える。リファレンス分析、コード理論、トレンドBPM、トップチャートの構成を意図的に模倣する。
まとめ:あなたの「信念」も変わっていい
一流のメジャーリーガーですら、「信念は固定しない。人は変わる存在だから、2~3年で信念が変わってもいい」と言い切ります。
「自分はロックしか書かない」「このDAWしか使わない」「こういうメロディこそが自分の個性だ」といった今のこだわりに、縛られすぎないでください。コンペを通して多様なジャンルに挑戦し、合わないものも書き、うまくいかなければ次を試す。その手数の多さこそが、最終的にあなたを「コンペを勝ち抜くプロの音楽家」へと育て上げます。
結果を恐れず、打席(コンペ)に立ち続けましょう。
ゼミ生のみなさん、おはようございます!
今後のレッスンスタイルへの提案として、今回のような動画を作成して進めていくのはいかがでしょうか。
今月・来月はこのスタイルを模索する試行期間としたいと思います。月3回のレッスンを基本として、各自予約を取ってください。
【事前のお願い】 予約時間までに、以下の素材と情報を送ってください。
・素材:ブラッシュアップ中の楽曲の「ステムデータ」、または生成相談をしたい楽曲素材 ・詳細:気になっている点、楽曲の方向性(コンペ用、じっくり仕上げたい等)、具体的な質問など
いただいた内容をもとに、私、成瀬英樹が「あなただけ」の個別レッスン動画を作成してお送りします。
(他ゼミ生への公開は原則いたしません)
4月からはクラス分けを導入し、プロへの最短距離をさらに加速させていきます。チャンスを最大限に活かして、全力で進んでいきましょう!
二月二十一日
杉山氏もまた、我が朝ごとの思いと同じきことを語りている。努力の尊さを説き、「口を閉ざして手を動かせ」と諭している。才能などと云うは、即ち努力そのものに他ならぬ。
彼もまた、弟子たちに歯痒き思いを抱いているのだろうと、深き共感を覚える。上手くゆかざる作家ほど、口ばかりを動かして手は動かさず。出来ぬ理由を並べ立て、成し得ることから目を逸らせる。されど彼らはこう云うのだ、「成功したい、結果を出したい」と。
否、それは叶わぬ幻であろう。成功していると言わるる者たちの、あの恐るべき仕事の量を見るがよい。そこをよくよく考えずば、如何に偉大なる師に幾百万の大金を払おうとも、作曲家なぞになれる筈もなし。
そして、やがて気づくのだ。「作曲家になる」ことは容易き業であると。「作曲家であり続ける」ことが如何に苦しき道なりやは、なってからでなければ分からざる真理なのだ。
――現在お住まいの北広島は、猛烈な吹雪に見舞われているそうですね。
成瀬 ええ。完全にホワイトアウト状態で、外を歩くこともままならない大雪です。風で電柱がゆっさゆっさと揺れるくらいで。こちらに移り住んで3回目の2月を迎えますが、やはり雪が本気を出したときの迫力には圧倒されます。でも、室内にいるとそれほど寒さを感じない。北海道の住居の偉大さを実感しながら、昨日も昨日とて、ひたすら作曲に勤しんでいました。
――雪に閉ざされた室内で、白井大輔さんとの面白いコラボレーションがあったとか。
成瀬 そうなんです。白井くんから提案してもらった曲があったんですが、どうも「世の中が求める白井大輔」のイメージからずれている気がして。それで、彼の書いた歌詞に、僕が僕のメロディをつけてみたんです。そうしたら、あらとっても良くなって。白井くん本人にも驚いてもらえました。
――同じ歌詞で、まったく違う曲になる。
成瀬 そういうのも面白いじゃないですか。何せ今は、渾身の作品、一切の妥協のない作品を、ギリギリまで模索したい時期ですから。
――その並々ならぬ熱量は、X(旧Twitter)に投稿された「ローマ字日記」の日本語訳にも表れていました。
成瀬 2月18日の日記ですね。「今年に入って一ヶ月半、恐らく去年一年の作曲数をすでに超えたであろう。今が人生で一番、量産できていることが嬉しい」と書きました。本当に、思うように曲が書けるんです。
――「金の琴の音は止まず、我が胸の底より、赤き薔薇の如く溢れ出る。今はただ、五線譜の森を駆ける白き光の鹿の如きメロディよ」……という、非常にロマンチックで情熱的な言葉が綴られていました。
成瀬 去年の冬の、あの枯れた日々はどこへ消えたのかと思うくらいです。今、世の中全体で「作曲」という概念が変革を強いられているような気がするかもしれないけれど、本質というのは常にシンプルなものなんです。僕は長い試行錯誤の果てに、ようやく一つの「答え」のようなものの尻尾を掴まえられそうになっているのかもしれない。
――ついに、答えの尻尾を。
成瀬 それとも、ただの「たまたま」なのかもしれない。でも、どっちでもいいのさ。結局のところ、「自分」という一番めんどくさいリスナーを納得させる曲を作ることができる力を、ようやく身につけたということは確かなのかもしれません。
――ご自身が最大の壁であり、最高の理解者でもあるわけですね。
成瀬 そりゃそうだよな、と思うんです。毎日毎日、これしかやってないんだから。それこそ、雨の日も、雪の日もね。
東村アキコさん『かくかくしかじか』は、挫けそうになった大スランプ期を救ってくれた、僕にとって大切な作品。
昨日、その映画版をアマプラで観たんですが……大名作でした。 あんまり泣いたせいで、うまく眠れなかったほどです。
若い時期に、良き師に巡り会えること。 自分の20代と重ねて、あらためて我が師匠と格闘したあの頃に想いを馳せました。
私の師匠も、本当に厳しく接してくれました。 年齢を重ねて思います。それは本当に愛情が必要なことなんだと。
師匠にも、とにかく「書け!」と言われ続けました。 僕も同じことを毎日、言い続けています。
いいからとにかく毎日、「書け!」 人生を捧げるって、決めたんでしょ?