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いつも、何かに追いかけられている気分で生きている。実際のところ、そうなのだと思う。僕の生活には、どこまで行っても「安息」というものがない。そうした仕事だと思う。じゃあ安息が欲しいのかというとそういうわけでもなくて、今「ここで戦えていること」、これこそを僕は願っていたのだから、実際のところは望むところなのである。
そうは言っても、せめて、そうせめて、提供楽曲の発売日くらいは、その日くらいは、思いっきりその喜びを味わいたいじゃないか。そんなわけで、仙台に行くことにした。4月8日水曜日、僕の新しい作品が世に出る日、ファイターズは仙台で楽天イーグルスとのゲームがある。今回の提供楽曲名は「パシフィック・リーグに連れてって」だ。これ以上ふさわしい過ごし方があるだろうか?
仙台へは、苫小牧からフェリーが出ている。そのことを僕は中学の頃から知っていた。「苫小牧発、仙台行きフェリー」と歌われる吉田拓郎さんの「落陽」という大好きな歌の歌詞にあるからだ。一度、乗ってみたかった、苫小牧発、仙台行きフェリー。
そんなわけで、4月6日月曜の19時発フェリーに乗り込むことにした。飛行機で行くのと料金はそれほど変わらない上に、時間は10倍以上かかるわけだから、相当に贅沢な移動と言わざるを得ないが、たまりにたまった事務仕事などを船上でかたづけながら、たまりにたまった積読本をやっつけることも目的にしたので、船はベストな選択だと思った。
苫小牧港の売店のレジの横にサイコロが売られているのを見つけた時には一瞬なぜ? と思ったが、すぐに理解した。これがなぜかは、あなたに贈るクイズとしよう。なぜ、苫小牧港でサイコロが売られていたのか? これには実に粋な理由がある。僕も思わず買ってしまった、なんの変哲もない、サイコロふたつ。
19時になって船が動き出してすぐに、僕は後悔を始めた。航海だけに。
ご存じだろうか? 船は揺れるのだ。特に悪天候でもないのにも関わらず、ずっと。平時を1、ピークを10とするなら3〜4程度の揺れが「ずっと」続き、時にそれが5〜6くらいの感覚で激しく揺れる。しばらく部屋のベッドの上でうずくまっていた。仕事? 読書? そんなものできるわけがなかろうもん。しばらくして時計を見ると、まだ1時間もたっていなかった。あと14時間…。
気分を変えるべく、公共スペースに出た。「きそ」というこの大型船は、決して新しいわけではない。むしろあちこちに大ベテランの趣があるが、実はなかなかの豪華客船である。部屋に置いてあったパンフレットによると、三菱の下関造船所で作られた船らしい。
僕が下関生まれなのは、父がそこ、三菱の下関造船所で働いていたからだ。僕が3歳まで我々家族は下関にいた。その後神戸造船所に越し、僕は関西人として育った。
この船は作られてどのくらいたつのだろう。父も製造に関わっていたのかな。
コーヒースタンドの若い女性店員に、いつもこんなに揺れるのですか? と訊いたら、実ににこやかに「はい、船は振動するものですので」と答えてくれた。なるほど、これは「振動」と捉えたらいいのか。「船が揺れる!」となると、ちょっとした不安を感じるが、よくある「振動」と捉えたらずいぶんと気持ちが楽になる。ナイスワードチョイス。
それでもやっぱり一人で部屋にいるのは不安なので、ラウンジルームで行われているライブショーを観る。コンポーネントのストラトモデルにマルチエフェクターとギターシンセを繋いだ僕より少し先輩くらいのギタリストと、何台かのシンセサイザーとエレクトリック管楽器を駆使するキーボーディスト(このかたも先輩とお見受けした)、二人組の演奏。もちろん、一般客向けに選曲されたものなのだが、それでも演奏に芯があるので、実に楽しめた。
相当に激しい「振動」のせいで、ラウンジルームの天井に吊られた照明器具がガシャガシャと激しい音を立てているが、ミュージシャン二人はどこ吹く風と飄々と演奏を続けている。童謡や民謡を彼らの素晴らしいアレンジで聞かせてくれる。間断なく天井で音を立てる照明器具と和の演奏のハーモニー。本編終了後にはアンコールが起きるほどの熱演だった。
その後、映画が一本上映された。50人ほど入るラウンジルームに観客は僕とあとひと組。がらんとした部屋に照明の轟音がガッシャンガッシャン響く中、韓国映画「母とわたしの3日間」を観た。よくある設定といえば設定なのだが、俳優陣が実に魅力的で、最初から画面に引き込まれた。心あたたまる素晴らしい映画だった。こうやってなんの前知識もなく映画をただ観る、なんてこともここ最近は出来ていなかった。映画館が好きで札幌に越してきたようなところだってあるのに、忙しさにかまけて足が遠のいていた。映画との出会い方って、やっぱりこうやって偶然、ってのが一番いいんだよな。
体内の水分をすべて涙として流せた。まるで心のサウナだ。いい体験だった。映画が終わると時刻は0時あたりだったので、そのまましばらく部屋で休む。もちろん数時間で目が覚めてしまうので、Kindleで読書。船の振動はいつの間にか気にならなくなっている。
船内で高橋源一郎さんの「ぼくたちはどう老いるか」を読了。僕も60を手前に「老い」について考えることが多い。音楽家はどのように年齢を重ねたらいいのか。高橋先輩に色々教えてもらうって感じの読書体験だ。ロックンローラーにとって、一番大切なのは健康なんだぜ? 知ってるかい?
実体験でも、周りを見ていても思うのだが、年齢をしっかりと意識しないでいると、いつまでも若いんだぞなんつってやってると、往々にして悲劇が起きる。というか、同世代や上の世代の悲劇は、ほとんどその理由である。我々はしっかりと今老いつつあり、どのように人生を下るのかを考え始める。決して早すぎることはない。
自分なんて大した存在ではない、それでも少しでも社会のお役に立てるのであれば、これからもできる限りのことはやらせていただきます。そんな気持ちで日々暮らしている。謙虚に、なるべくならご機嫌に暮らしたい。
いつまで続けることが出来るのだろう。そんなこと、誰にもわからないさ。だから、走り続けるしかないのだろう。それはその通りだ。しかしながら、走る速度は考えなくてはいけない。時には歩いてもいい、休んでもいい。そう判断することが、長く走り続けるには必要なことだ。ということも、ここまで全速力で走ってきたからようやくわかり始めたことなのかもしれない。
仙台港に着く。バスで仙台駅方面へ。今年から「楽天モバイル最強パーク宮城」と呼ばれる楽天のホーム球場と仙台駅の中間あたりに位置する宿泊先へ荷物をおろして、まずは最初の目的を果たそうと思う。
そう、フライング・ゲット。
水曜発売のCDは前日の火曜日に店頭に並ぶ。7日火曜日のお昼過ぎだ。もう乃木坂46の新曲は面出しされているだろうと、仙台タワーレコードへ。今回はBINGOの仲間、石崎光さん作曲&編曲が2曲(うち1曲は懐かしい仲間「たっちゃん」と共作だ!)、そして僕の作品の計3曲がBINGOから収録された。
なんと言っても秋元康さんに心からの感謝を申し上げたい。先生にしか思いつかないアイデアですよね。「パシフィック・リーグに連れてって」なんて!
そして、この「BINGOから1枚のシングルに3曲収録」の快挙は光さんのおかげでしかない。「すごいですね」なんてひらがな6文字じゃまったく表現できないほどの「すごさ」なんだけど、人ってのはその只中にいるとなんだか実感がないものなんだよね。
特に我々は作曲や編曲をする裏方なので、拍手を浴びるものでもないから。せいぜい、Xの検索窓に曲名を放り込んでエゴサして、見知らぬ誰かが褒めてくれてるとほくそ笑むくらいのものだから。
その逆で、貶されるととても寂しい気持ちになる。クマムシの「あったかいんだから」とこの曲はコード進行の流れが同じなだけで、まったく違うメロディである。2小節めに3度の音が半音上がるコード進行をもしクマムシが作ったのなら、その意見は甘んじて受けるが、決してそんなことはない(あるはずがない)。
なんなら、いわれのないこうした言説のために、コード進行とは何かという動画を撮ろうかと一瞬思ったが、やめておく。なぜなら、そんなことを言い放つ人たちが、しっかりと動画を見て理解してくれるとは思えないから。
CDの装丁フィルムを外して、ブックレットを取り出し、自分のクレジットをそこに確認する喜びは、やはり何ものにも変えがたい。何度経験しても、だ。子供の頃、歌番組を見ていて、タイトルの下に出る「作詞作曲」のテロップに胸ときめかせた。この大好きな歌手が歌う最高な楽曲は、この名前の人たちが実は作っているのだなあ。歌手はテレビに映るけど、この人たちは名前だけなんだ。
なんか、かっこいいな。
そこに自分自身がいるなんてね。よくわからん経緯だが、本当に運がいい人生だった。ただただ、ラッキーだった。恵まれていた。だからこそ、この機会、全力で当たらなければいけないって。
宿泊先から球場までは歩いて20分ほど。桜が見事に咲いている道を歩く。そうか、本州は桜が咲いているのだ。気持ちいいな、と思う。そうだそうだ、春ってこんな感じだった。今年は冬があまりに長く過ぎて、春にうまく心身が馴染めない。楽天の球場周りまで来ると、たくさんの出店が出ていたり、特設ステージで催しをやっていたりで、結構な賑わい。リセールで取ったチケットは1塁ベンチ上通路側の良席だった。
今年から楽天に加入したメジャーリーガー前田健太と、先日ノーヒッターの細野の「新旧ノーヒッター対決」が楽しみなマッチアップだったが、この日は正直なところ野球どころの騒ぎではなかった。4月の仙台のナイターということで、最高レベルの防寒をしてきた僕だったが、それでも寒さで凍えた。選手たちも顔まで風を避けるウルトラ防寒体制で、プレーにも集中できるはずがなく、ファイターズは今年一番の酷い試合で3−0であっさり負けた。マエケンも試合途中で足を攣ったらしく降板。ああ。
特に試合終盤は、災害級の風も吹いてきて、体感温度はマイナス1度とiPhoneが教えてくれた。プロの選手たちがフライをまともに捕球することすらままならない。ファイターズファンの皆さんも、この日の彼らのミスと貧打は許してやってほしい。
現場からは以上です。
翌日、8日水曜日、寒さは前日ほどじゃなかった。しかし、前日にしても昼間は暖かかったわけで。さすが本州は違うなあ、東北地方とはいえ、やはり北海道とは違って、4月は気温が高いのね、なんて呑気に構えていたから。この日は油断しないぞと、絶対夜はまた冷え込むに決まっているんだからと気合を入れた。
この日も日中はずっと仕事をしていたはずなのだが、一体何をしていたのかをまったく思い出せない。あくせくとメールに返信をしていたのだろうか? あ、いくつかのSNSに文章を書いたり、架空自作自演インタビューを作ったりしていたのかもしれない。(これだって大切な仕事である。そうは見えないかもしれないが)
この度、こんなプロジェクトに関わらせていただきました、というお知らせができることを、心から嬉しく思う。特に今回は仲間たちと一緒に喜べたから。
まずは「たっちゃん」こと菅井達司さん。BINGOの初期を支えてくれたメンバーだ。人生をオセロゲームに例えるなら、たっちゃんが数年前に端っこに置いた白い石が、いくつもの黒石を挟んで、ついに全部真っ白にひっくり返ったということだ。
今作のMVPが石崎光さんであることに異論の余地はない。満票で彼の受賞だ。しかし僕たちは光さんの日々の作曲量を知っている。凄まじい質の楽曲を、とんでもないペースで書き上げることを。そして彼自身それを「努力」と呼ぶことをためらう。ましてや「才能」という言葉でくくられることも。光さんにとって、作るということは、生きるということだ。ただただ、それだけだ。
今回、一緒に作曲したmeeさんの的確な修正がなかったら「パシフィック・リーグに連れてって」は存在しない。meeさんのアイデアを足さなかったら、採用はなかっただろう。今では僕のメロディになんだかんだ言ってくれるのは(しかも僕が唸るほどに的確に言ってくれるのは)meeさんだけだから。
そしてフォートリの面々とともに、「FOUR TRIPS」の名の下に作品を出せたことを嬉しく思う。今回、僕のピンチを救ってくれたのは彼らである。白川さんのいつもながらに気が利いたハーモナイズと、愛機Garage Bandによる最高のキーボードプレイ!(普遍性でいうとGarage Bandが最高の機材だって僕たちは知っている)。
初田には彼の得意技「まるで自分で叩いてるような打ち込みドラム」と共に、デモのミックス作業を最後まで粘ってお願いした。本当に助かった。そして、俺たちのHeart & Soulベーシスト池田憲彦の登場だ。池田のベースが入るだけで、春めいたおしゃれな楽曲がいきなり「スワンプ」の様相が漂う。今はベーシストのみならず、DJとしてもフロアを沸かせている池田のDJプレイを最近見たのだが、実に見事な選曲家になっていて、ああいい仲間に囲まれて過ごしてるんだなって嬉しくなったこと思い出した。
「FOUR TRIPS」は僕の音楽的故郷だ。2026年、今年は作曲家と名乗って20年の節目で、初心に帰ろう、一曲入魂を掲げて作品を作っている。その第1作めでこのような大きなチャンスの中でベストを尽くした仲間たちを誇りに思う。
8日のファイターズの先発は北山。イーグルスの投手陣も素晴らしく、先発の古謝から始まるナイスピッチングに、ファイターズ打線は1安打に抑えられた。しかし、その1安打がホームランで、なんと1-0で勝った。「1安打勝利」も大変に珍しい記録である。もちろん北山が実に見事に「北山的」に相手をドミったからであり、柳川がしっかりと試合をクローズしたからの結果である。
本来なら、3連戦を3戦とも観て帰ろうと思ったのだが、「1安打勝利」以上に望まれる結果もないだろうと、9日の午後、新幹線で北海道へ向かった。函館で乗り換えて札幌への電車に揺られながら、北海道の広大な海を見ていた。神戸の海を、茅ヶ崎の海を思い出しながら。
また振り出しに戻る旅に 陽が沈んでゆく。
30分ほど前、正午過ぎに仙台を出て、僕は大好きな東北新幹線に乗って北を目指しております。函館からは海が見える座席を、今回は確保できました。小確幸。
あらためまして、僕たちBINGOから今回、乃木坂46さんのシングルに3曲収録していただいております。光さんの楽曲が単独作とコライト(どちらも編曲まで光さんなんだぜ!)の2作品、そして僕の作品も!
結果は結果、あくまでも途中経過。大切なのは日々の努力を続けること。そしてその機会をいただけていることに感謝をすること。これが僕たちBINGOの文化です。いや、わかってます。わかってはいるのですが。
そりゃ、やっぱ嬉しいでしょう! この世知辛い世の中で、大人になってから「おめでとう」なんて言われることはなかなかないのです。今回の楽曲が決まったことは、我々の努力が一つの形となり、具体的にリスナーにお届けでき、この長い音楽の歴史の上に一歩立てたということ——確かに大変祝福されるべき事柄が含まれているかもしれませんね。
じゃあ、言ってもいいよね?
本当におめでとう! 光さん、たっちゃん! meeさん! フォートリのみんな! そして、僕!
誰よりも、これを読んでくれているあなた! あなたに、おめでとう! そしていつも応援、ありがとうございます! これからもドキドキハラハラのBINGOゲームのような人生を楽しんでいただくべく、がんばってまいります。 BINGO!
さあ、次のゲームはとっくに始まってるから、そのカードを取って。次は君の番だ。
「パシフィック・リーグに連れてって」作曲者インタビュー 〜パ・リーグ愛と仲間のこと
── 成瀬さん、「全部 夢のまま」以来の乃木坂46への楽曲提供おめでとうございます。乃木坂野球部による「パシフィック・リーグに連れてって」、大変好評ですね!
成瀬 ありがとうございます! 今回も「you-me」というペンネームで書かせていただきました。そして今回の一番大きな出来事は、「mee」さんというパートナーを得たことです。それにともなってクレジットの表記についても、コライトでよくある「you-me, mee」のように「,」で分けるのではなく、「you-me × mee」という表記にしています。「ユーミー・バイ・ミー」と読んでもらえたら。
──meeさんというのは、どういった方なんですか?
成瀬 meeさんは、僕が若い頃に作曲を教えてくれた同志というか、仲間なんです。
── meeさんとのコライトは、どのような形で進めたんですか?
成瀬 今の時代によくあるような、トラックが先に上がってそこにメロディーを乗せていくやり方も結構好きなんですが、やはり自分の言葉やメロディーを先に作る方が性に合っていて、最近はそのスタイルに戻っていたんです。今回meeさんに「いい曲できたぞ」と自慢するつもりで送りつけたら、数カ所「こうしたらいいんじゃないか」という修正案が返ってきたんですよ。その修正が実に見事で、「やっぱりこの人はすごいな」と思って、全部そのまま採用しました。meeさん本人はクレジットはいらないと言っていたんですが、「いや、ぜひクレジットさせてください」と僕からお願いしました。今後もまた頼める口実になりますしね(笑)
── そして今回、アレンジがFOUR TRIPS。成瀬さんのバンドですよね?
成瀬 そうなんです。29年前にデビューしたバンドでして、数年前の25周年のタイミングで久しぶりに集まって2曲作ったんですが、その時に本当にいいコラボレーションができたんですね。現在の僕のサウンド・パートナーは石崎光さんなんですが、今回の乃木坂さんのカップリングでは光さんの作曲&アレンジがすでに2曲入っていて! さすがに3曲目をお願いするのは忍びないと思い、「これは自分でやってみます」と。
ただ、自分1人だと心もとないので、まずドラムの初田に連絡してドラムを打ち込んでもらって、キーボードの白川さんにコード進行などを上手に調整してもらって、なんてやっているうちに聴き返してみると、「これって完全にFOUR TRIPSじゃないか」と気づいたんですよ。だったら思いっきりFOUR TRIPSでやろうということになって、ベースの池田に連絡しました。本当に時間がなかったんですけど、弾いてくれて。初田や白川さんは時々僕の仕事を手伝ってくれたりもするので、自宅に録音できる環境があったんですが、池田はバンドマンなので家で録音なんてやらないんですよね(笑)そこでドラムの初田が池田の家まで機材を持って行って録音してもらったんです。そうやって遠隔でやり取りしながら、久しぶりに4人が揃って音を鳴らすことができて、本当に嬉しかったし、楽しかったです。
FOUR TRIPSを組んだ時の目標が「いつかヒットチャートの1位になれたらいいね」だったんですが、今回、そんな大ヒット作のカップリング作として、彼らと一緒に名前を刻むことができた。それが本当に嬉しかったことのひとつです。
── いい話ですね。ところで、「パシフィック・リーグに連れてって」というタイトルは、成瀬さんにぴったりですね!
成瀬 はい、この秋元先生の歌詞には驚かされました。あまりに感動して、田舎の母に泣きながら電話したほどです(笑)パシフィック・リーグとの公式コラボソングの作曲を担当させていただけるなんて、夢見ることすらできない、想像を遥かに超えたことでした。というのも、僕は幼い頃からパ・リーグの大ファンで、近鉄バファローズというチームをどこまでも追いかけていましたし、さらに地元神戸のオリックス・ブルーウェーブの球場「グリーンスタジアム神戸」は僕らの庭であり、遊び場であり、ビヤガーデンでした。
── 野球の話になると止まらない成瀬さん、手短に(笑)
成瀬 僕は一昨年から北海道日本ハムファイターズの本拠地、エスコンフィールドのすぐ近くに住んでいまして、毎試合生で観ているんです。つまり僕の生活は、今も昔も、「音楽とパシフィック・リーグ」に完全にまみれているわけですよ。僕の人生そのものと言ってもいい。だから今回の曲を、もし別の作家が担当していたと思ったら、きっと悔しくて地団駄踏んでましたね。二度と立ち直れなかったんじゃないかな。
── パ・リーグをご存じない方に、簡単に説明していただけますか?
成瀬 簡単に言うと、巨人と阪神がいないリーグです。圧倒的に人気がある「読売ジャイアンツ」と「阪神タイガース」が所属するのがセントラルリーグ、いわゆるセ・リーグ。パ・リーグは「そうじゃない方」のリーグというか。だからこそパ・リーグは一致団結してセ・リーグに対抗しようとしてきた歴史があって、その部分も含めて僕はパ・リーグという存在にずっと惹かれ続けてきました。そんなパ・リーグもここ最近はどの球場も観客でいっぱいです。僕が子どもの頃には考えられなかったことで、それがたまらなく嬉しい。
── 「6球団どこでも好き」という秋元先生の歌詞についても、何か思うことはありますか?
成瀬 これは本当に深い言葉だと思っています。実はパ・リーグは一度、消滅しかけているんです。2004年、僕が愛してやまない近鉄バファローズがオリックスに吸収合併されることになりました。あの時、1リーグ制にしてパ・リーグをなくし、10球団ほどに収縮、という案が、組織側で本当にまとまりかけたんですよ。
── 球界再編問題ですね。
成瀬 そうです。あの時、僕たちファンは12色のミサンガを腕につけて「絶対に12球団を守る」と声を上げました。セ・リーグのファンも一緒になって。そうしたファンの運動があってこそ、今の12球団が守られて、パ・リーグの6球団があるんです。だから秋元先生の「6球団どこでも好き」という言葉は、そういう歴史にしっかりと裏打ちされている、深いメッセージと僕は捉えています。今の若いファンの中には、パ・リーグ内にもライバル関係があるのに「どこのチームも大好きだなんて!」と感じる人もいるかもしれません。でも、それこそが何よりも嬉しいんです。安心して6球団でパ・リーグのライバル関係を楽しめるような状況になっているということが。
僕がこれまで聞いた野球選手の言葉で一番好きなのが、新庄剛志さんの言葉なんです。阪神タイガースのスターだった彼がメジャーに渡り、ワールドシリーズで日本人初安打を放つほどの活躍を遂げ、2004年に日本に戻ってきた際に「これからはメジャーじゃない、セ・リーグでもない、パ・リーグです!!」と宣言したんです。そしてその言葉通り、新庄さんはパ・リーグを熱狂的に盛り上げた。今回この曲に携わって、そういうことを何度も思い出し、胸が熱くなりました。
── 昔からの仲間と一緒に、成瀬さんの思いがこもった楽曲が乃木坂46の新曲としてリリースされる。本当に嬉しいですね。
成瀬 はい。しかも乃木坂野球部の皆さん、本当に野球が好きだというのが、野球ファンとして見ていてわかるんですよ。ガチの人たちだということが。7月に乃木坂さんがエスコンフィールドに来て「パシフィック・リーグに連れてって」を歌ってくださるのを、今から本当に楽しみにしています。僕はドキドキしながら、周りの応援仲間たちや顔見知りの売り子さんたちに「あれ、僕の曲なんですよ」とさりげなく自慢しながら、ライトスタンドのいつもの席で楽しませていただこうと思っています。
── サウンドの聴きどころも教えてください。
成瀬 このサウンドはFOUR TRIPSでしかできない音だと、胸を張って言えます。人懐っこいというか、懐かしいというか、親しみやすいというか、気取っていないというか。ドラムの初田いわく「フォートリはロックンロールなんだ」。確かにそういうサウンドに仕上がっていると思います。僕自身もギタリストとして、リッケンバッカー330とギブソン J-50、そしてアメリカンチューニングのウクレレも弾いています。かなり気合いを入れてアレンジしました。この感じこそがバンドだし、この感じこそがFOUR TRIPSなんだなと、改めて実感しました。
── ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
成瀬 ぜひ、楽しんで聴いていただきたいです。そして、この曲がパシフィック・リーグをさらに盛り上げる一助になれたら、選手のみなさんにも喜んでいただけたら。大の野球ファンとしてこれ以上の喜びはありません。
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セントラルじゃなくて、パシフィック
成瀬さんはパシフィックがよく似合う!
フォートリで編曲したというのもファンとして胸熱です!
リリースおめでとうございます🎉 -
野球の曲をフォートリでって最高!
BINGO3曲同じ盤にっていうのもすごい♪
リリース、おめでとうございます🎉
おはようございます。
ファイターズは結局、このエスコン開幕6連戦は、初戦のノーヒッターを含む5勝1敗。まさにドミネイトな勝利でございました。万波中正、野村佑希の大覚醒に加え、新戦力の……なんて詳細まで書き出すと大変なことになるので、要するに、開幕3連敗なんて一気に吹き飛ばしました、ということであります。
そして、待ちに待った今週がやって来ました!