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孤独をコントロールすること。
成瀬英樹
成瀬英樹
3月1日 17:44

「成瀬さんは今、Zoneに入ってますからね」

ナッポさんが言った。先日、電話で話したときのことだ。

 

僕は「そうかなあ?」と、「そう」にアクセントをつけて、リズム的には「タン・タ・ターン?」と、わざと大きな声で答えた。

 

たしかにそうなのだ。札幌に越してきて1年、作曲が着実に上達している実感がある。曲をつくるときに、メロディが出てこなくて困ったことが一度もない。それどころか、「曲を作るぞ」と決めて、納得いくものができなかったことが一度もない。

 

「教えることで、学ぶ」。

これは確かにある。後進の作家たちに作曲を教えているうちに、自分が感覚的に持っていた作曲法を言語化できるようになり、さらにそれがめぐりめぐって、自分自身の成長につながっているのかもしれない。

 

萩原健太さんの『グレイト・ソングライター・ファイル〜職業作曲家の黄金時代』を読んでいる。15組のアメリカのソングライターと、日本の2人の作曲家を紹介した17章の物語。これは僕にとって待ちに待った一冊だ。僕もソングライターの端くれであり、彼らと同じ職業であることに誇りを持っている。もちろん、彼らの才能には到底追いつけないが、彼らへの憧れだけは、胸を張って語ることができる。

 

この絶好の機会に、僕のネットラジオ「成瀬英樹のPOP A to Z」で特集を組むことにした。はじめは「3週間の特集」にしようと思った。しかし、17組の偉大なソングライターたちを、その中からかいつまんで紹介するなんて僕にはできない。

 

だから、17回シリーズで全章を特集することに決めた。初回は 「リーバー&ストーラー」。

エルヴィス・プレスリー『監獄ロック』『ハウンド・ドッグ』の作者と言えば、「おお!」と思ってもらえるはず。彼らは『スタンド・バイ・ミー』の共作者であり、ビートルズが憧れたソングライターでもある。

 

50年代初頭、「黒人のように歌う白人」 エルヴィスとの出会いによって、白人のソングライターコンビ リーバー&ストーラー の評価は決定的なものになった。その時代の空気を感じながら、萩原健太さんによる著書からマイク・ストーラー氏へのインタビューも交えつつ、「ルーツ・オブ・ロックンロール」な彼らの名曲たちを紹介したいと思います。

 

ぜひ、イヤフォンやヘッドフォンを用意して、土曜日の22時半 に逢いましょう!

 

昨日の朝、札幌の映画館で『アメリカン・グラフィティ』を観た。

僕の人生のベスト・ムーヴィー。

 

中学生のころ、テレビ放映されていたのを観てから、何度も何度も見返してきた。でも、映画館で観るのは初めてだ。興奮する。

 

音楽に身をゆだねるために、2列目のど真ん中の席を予約した。平日の朝にしては、客席は埋まっているほうだろうか。オープニング「ビル・ヘイリーと彼のコメッツ」による『ロック・アラウンド・ザ・クロック』から、ラストのビーチ・ボーイズ『オール・サマー・ロング』まで、一瞬も目が離せない体験だった。次に起こる展開をすべて知っているのに、それでもめくるめくおもしろさ! これ、一体どういうこと?

 

あまりの感動に、エンドロールが終わってもしばらく席から動けなかった。
 

夜はBINGO! ミーティング。

昨日も過去最高の神回を更新しました。

 

このあたりの話は配信で!

ひとつ前の投稿にリンクを貼っているので、メンバーのみんな、ぜひどうぞ!

目覚めのマーチ
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
3月1日 11:53

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どうせやるなら、ぜんぶやらなきゃ。
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
2月27日 10:06

ミュージシャンやソングライターから多くの影響を受けてきましたが、振り返ると、僕にとって最も大きな影響を与えてくれたのは「音楽ライター」の方々だったのではないかと思うのです。

最初にその世界に触れたのは、中学生の頃。渋谷陽一さんのラジオでした。そこで興味を持ち、1984年12月に初めて渋谷さんの雑誌『ロッキング・オン』を手に取りました。表紙にはキース・リチャーズ。その衝撃は今でもはっきりと覚えています。

『言葉でロックすることも可能なのか?』と。

それ以来、『ロッキング・オン』に夢中になり、音楽を文章で語ることのスリリングさに魅了されていきました。

中でも特に心を惹かれたのが、松村雄策さんの文章でした。彼の音楽エッセイの語り口は誠実で穏やかで、10代の僕に「この人の言葉は信用できる」と思わせる力がありました。バッドフィンガーをはじめとして、彼から教えてもらった音楽はたくさんあります。
 

そして、20代になると『ミュージック・マガジン』で萩原健太さんの文章に出会います。当時、関西では健太さんが出演していたテレビ番組『イカ天』が放送されていなかったため、僕にとって萩原健太さんは「音楽評論家」としての認識でした。そして、もし彼の文章がなかったら、僕は今ここで音楽を続けていませんでした。それほどに決定的な影響を受けたのです。

1990年『ミュージック・マガジン』に掲載されたユニコーンのアルバム『ケダモノの嵐』のレビュー。萩原健太さんは、ユニコーンの音楽性や独自のアプローチを「はっぴいえんど」に例え、ユーモアたっぷりにその魅力を語っていたんです。特に、日本語のロックに対するこだわりや、独自の視点で音楽を作り上げる姿勢に共通点を見出していました。何よりも、その文章には音楽への愛情が溢れていました。当時の僕は洋楽ばかりを聴いていて、ユニコーンのような「女子人気の異常に高いバンド」をもちろん敬遠していましたが「健太さんがそこまで言うなら、聴いてみよう」と思って『ケダモノの嵐』を購入。その音楽的な素晴らしさに心を打たれました。気づけばユニコーンの大ファンになりました。

何より、ユニコーンの「普通の格好でロックをやる」という姿勢に大きな影響を受けました。

当時の神戸では、ロックをやるなら何かしらの「コスプレ」が必要でした。パンクファッション、ハードロック風の長髪、ストーンズ風の細身のジーンズ、ラバーソール、髪を逆立てる……僕もそれに憧れましたが、やはりどうにも似合わなかったんですよね。10代の頃は無理をしてメイクをしたり、髪を立てたりしましたが、20歳でバンド活動を一旦やめ、ロックも聴かなくなり、ジャズやブルースのレコードをたくさん聴いていました。
 

「普通の格好をしていてもロックができる」んなら、オレでも出来るかも!という確信を得て、再びバンドを組みました。それがFOUR TRIPS。このバンドが僕のデビューへとつながっていくことになるのです。

萩原健太さんが手がけた著書の数々(『はっぴいえんど伝説』!)や数多くの音楽ガイド的ムックを熟読し、レコード屋に通っては少しずつ聴いていました。能地祐子さんとともに主催され現在も続くカントリーロックのイベント 「CRT」にも何度も通いました。

そして何よりも彼のラジオ番組。毎週カセットテープに録音し、何度も聴いては気に入った音楽を買う。そこからまた広がる。そんなふうに、健太さんの言葉を通じてたくさんの音楽と出会いました。僕にとってまさに「音楽の先生」です。
 

そんな健太さんの新作が発売になりました。『グレイト・ソングライター・ファイル 職業作曲家の黄金時代』タイトルだけで震えるほど、待ちに待った一冊ですね。「成瀬英樹のPOP A to Z」で今月三週間にわたって大特集! と最初は考えていましたが、いや、ここには17組のソングライターが紹介されていて、重要でないパートは一つもないことに思いあたりました。

全部やります。17週ぶち抜きで(最終週はリクエスト特集ですが)『グレイト・ソングライター・ファイル 職業作曲家の黄金時代』特集! ワクワクしませんか? なんといっても僕がこの番組のディレクターであり、プロデューサーであり、一番のリスナー。一つの本を数ヶ月特集するなんて前代未聞でしょうが、だからこそ、やる価値があるのだと。

成瀬、どうせやるなら、ぜんぶやらなきゃ。
 

音楽を作る人、聴く人、そして語る人。互いに影響を与え合いながら、新しい音楽の景色を生み出していく。その輪の中に自分もいられることが、僕はとても幸せなんです。

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Roots of Pop Music
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
2月26日 15:32

今朝は早く目が覚めたので、作曲についての動画を録画しました。

 

シンプルにみなさんに伝えたいのは、「ゼロから作ろうとしてはいけません。1から作ることが大事です」ということです。そして、その「1」を選ぶ力こそが、作曲においてとても重要なポイントになります。ちょうど新しい方々がゼミに入られたので、改めて僕の考えややり方をお伝えする機会にもなりました。

 

配信後、朝9時半から札幌の狸小路にある映画館「シアターキノ」で、『パリ、テキサス』を観てきました。この映画を観るのは30年以上ぶりになります(当時、三ノ宮のアサヒシネマで観た記憶が)。主演のハリー・ディーン・スタントンが僕はとても好きで、当時から彼の出演作を何本も観ていました。監督はヴィム・ヴェンダース。最近では、役所広司さんを起用した映画『PERFECT DAYS』を撮り、大きな話題になりましたよね。そして、『パリ、テキサス』の音楽を担当しているのがライ・クーダー。スライドギターの響きが美しく、映画と同じくらいサウンドトラックも広く知られています。今回は40周年記念の4Kリマスター版。とても素晴らしい体験でした。

 

昔20歳の頃に観た映画を、今の自分がもう一度観るというのは、不思議な気持ちがするものです。先日『バグダッド・カフェ』も映画館で観返しましたが、どちらも当時よりもずっと面白く感じました。若い頃は「雰囲気のある映画」として観ていましたが、今は登場人物の気持ちが理解できるようになっている気がします。名作というのは、観る人の人生に寄り添いながら、その時々で違った表情を見せてくれるものなのかもしれません。そう考えると、僕自身もようやく、こうした渋みのある作品を味わえる年齢になってきたのかなと、少しだけね、思いました。

 

そして、札幌の本屋では萩原健太さんの『グレイト・ソングライター・ファイル』の入荷が夕方になるということで、待ちきれずにKindle版を購入しました。健太さんからは「いやいや、もう全然勝手に取り上げてくれて問題ないです。ありがとう!」と許可をいただいたので、今週から3週間、この本をテーマにラジオで特集を組む予定です。ちょうど今月のアルファベットは「R」。“Roots of Pop Music” や “Rock’n’Roll” など、いろいろな切り口でお届けできそうです。どんなタイトルにするか、これから考えます。

 

それでは、メンバーのみんなはぜひ↓動画を楽しんでね!

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感覚的なもの
成瀬英樹
成瀬英樹
2月25日 21:35

みなさん、こんばんは。成瀬でございます。

 

今日は朝からお金の計算、確定申告をまとめて頑張りました。税理士さんにはかなり待ってもらっていて申し訳なかったんですけども、滞りなく僕のターンは終わったかと思いますので、クリックポストで投函してまいりました。

ここのところ、本当に自分の修行が足りないなぁと思うことがたくさんあったので、まとめて全部毒出ししてしまえということで、やろうやろうと思っていたファスティングを。今日で2日目です。ファスティングをやるのはもう3回目か4回目ぐらいなので、とても自分にとって一回リセットできる気持ちのいいものだというのも知っています。

ただそりゃあ、お腹は空きます。静かに、なるべく感情を上げ下げせずに過ごしました。


あとは作曲レッスンを。みんな一歩ずつ前に進んでいけばいいと思うんです。よく言うんですけど、階段を2、3段飛ばそうとすると、こけて落ちちゃうので、一歩ずつ一歩ずつで大丈夫です。


クリエイティブ、創作、作曲の面白いところなんですけれども、ある日突然パッと閃いたり掴んだりすることがあるんですね。その掴んだ感覚というのも、一度掴んでしまえば、それ以前には絶対に戻らないものなんですよ。感覚的なものなんです。技術というより、まさに感覚。そういうものを一曲ごとに掴んでいけたら、みなさんにとってすごくいいんじゃないかなと思います。一曲ごとに「こうすればよかったんだ」「こうやったらうまくいったな」って気づいていく。

 

なかなか結果を追い求めると非常に苦しいものになります。でも、ここは戦いであると同時に、仲間が集う広場でもありたいと思っています。まずはソングライターである周りの仲間に評価してもらえるような曲を作ること。でもその前にはやっぱり自分が「これは心震える、いけるぞ」というような曲を作ることが何よりも大事だと思います。

BINGO! は今、とてもいい感じですね。非常に面白い巡りになってきたと思います。だからこそ、改めてもう一度足元を見つめ直して、今僕の中に溜まっている毒は全部抜いて、開幕を迎えたいと思います。よろしくお願いします。

そうそう、ずっと部屋にこもりきりだったので、レッスンの時間をずらしてもらって、野幌の喫茶店に行ってしばし本を読みました。ポール・オースター『4321』をちびちび読むのが本当に楽しい。これを読み終えたら、僕も長い文章を書き始めます。今日、決めたんだ。「喫茶ファロ」で。

じゃあみなさん、今日も一日お疲れ様でした。