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「おう、満里奈似、古今東西ゲームやろうぜ」
「何よ、いきなり」
「ほら、いいから。いくぜ、『ここんとーざい! 元々キャッチャー出身の野手!』ハイハイ!」
「始まっちゃうのね。じゃあ、えっと……飯田哲也」
「お、日本シリーズ伝説のバックホーム! ヤクルトの名外野手きたね。オレ、同い年だよ。ハイハイ!」
「えらくノリがいいわね」
「こんな最高な夜におとなしくしてられるかってんだよ。郡司裕也! ハイハイ!」
「なに、それが言いたかったのね? でもそうね、今夜のサヨナラヒット、最高だったもんね」
「よく考えてみろよ。『不動の4番』が故障でいないんだぜ? リーグトップ級のOPSを誇ってた野村がよ」
「そうよね、野村が抜けても郡司がいた」
「遜色ないよな。郡司は去年、三塁手としてオールスターに出て、規定打席だって乗ってたのによ、今季はなかなか試合に出られねえんだから、ファイターズの戦力の厚さはマジでヤバい」
「ま、郡司は“元”じゃなくて、今年はしっかりキャッチャーもやってるからね」
「そうだよな。野村が抜けたファーストにもすんなり入れるし」
「今のファイターズってさ、“キャッチャー登録のユーティリティ”がたくさんいるのよね」
「そうそう。田宮だってレフトを結構器用にこなすしな」
「田宮は足だって速いんだから! あたし、真剣に野手コンバート考えてもいいって思う」
「ま、でもあの盗塁阻止率の高さも捨てがたいからな」
「そうなのよね。打てるキャッチャーって貴重だから、しっかり育てたいものね! ハイハイ!」
「いてまえ打線、最後の戦士、礒部公一!」
「また渋いとこ来たわね」
「礒部の外野へのコンバートがなければ、2001年の近鉄の優勝はなかったんだよ。まさに不動の5番だった」
「礒部って、あたしたちの世代には、“球界再編”のゴタゴタで古田さんと一緒にがんばってた人って印象あるわ。ハイハイ!」
「和田ベンちゃん!」
「あ、確かに! ベンちゃんはライオンズ時代、ガチでキャッチャーだったものね。外野にコンバートされてから、信じられないくらい打ち出したのよね」
「30過ぎてドラゴンズにFA移籍してからは、もう乱れ打ちだよな。2000本も達成したし、不屈の人だよ。ハイハイ!」
「衣笠祥雄!」
「鉄人衣笠! レジェンド中のレジェンドじゃねえかよ。満里奈似世代だとリアルで見たことないだろ?」
「ないわよ。本当に伝説の中の人。彼もキャッチャーだったのよね?」
「そうだけど、プロではほとんどマスクはかぶってないからなぁ。古今東西的にはアウトじゃね?」
「いいのよ、細かいことは言わないの。モテないわよ」
「衣笠さんがオッケーなら、オレは小笠原道大! だな」
「“ガッツ”ね、大好きよ! ファイターズのレジェンド!」
「日本球界における“攻撃的な2番バッター”の始祖だよな」
「巨人に行っても大活躍してさ」
「そうそう。ヒゲを剃ったとしても、あのワイルドな魅力は変わんなかったのがカッケーんだよな」
「あたし、去年『日韓対抗OB戦』をエスコンで観たんだけど、大学生の甥っ子と来たわけ。ガッツも出ててさ、甥っ子がガッツの打撃フォーム見て『本当にあんな打ち方するんだ、すげえ』って感動してたわよ」
「ああ、今の子たちは『プロスピ』とかゲームの中のレジェンドとしてのガッツってことなんだな」
「ガッツってさ、セ・パ両方でMVP獲ったのよ。ファイターズと巨人、両方で」
「もちろん知ってるよ。ほかにも両リーグMVPっていたか?」
「それが、もう一人いるのよ! じゃあ、次回会うときまでの宿題ね。あんたも野球ファンなら調べるのナシよ。しっかり思い出して考えてね」
「おお、わかった。でも一個ヒントくれよ〜、思い出すきっかけが欲しい」
「わかったわ。その選手、パ・リーグではファイターズ在籍時にMVP獲ってます。ではどう?」
「おお、ありがとな。考えとくわ。これ、読んでるそこのあんたも思い出してみてくれよ。調べるのはナシだからな!」
「誰に向かって喋ってんのよ、まったく……。じゃあ、あたし行くね。バスの最終がそろそろだから。ナイスゲーム、郡司に乾杯!」