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今じゃファイターズのことしか考えられないあたしだけど、タイガースと一緒に育ったのは確かだからね。対戦はとても不思議な気持ちがするし、新庄剛志も藤川球児も、あたしにとっちゃ思い入れたっぷりの大好きな選手。それが監督としてガチ対決するなんて、ほんとに嬉しくてたまんないのよ。今日は負けたけど、相手にとっちゃファイターズもややこしいチームだと思ったはずだよ。グーリンのアクシデントの後も、ブルペンが1点に抑え込んだしね。
そうは言ってもね、あたしがいちばんたくさん通った球場って、やっぱり甲子園だと思うんだ。
兵庫県の明石で育ったから、ちっちゃい頃からお父さんに連れられて、よく行ってたの。うちの父、熊本工業の出身でね、熊工が甲子園に出るたび、必ず行ってた気がするなあ。あたし自身は覚えてないんだけど、父の話によると、最初に観たのは東海大相模の原辰徳と鹿児島実業の定岡が投げ合った試合だったらしいの。オールドファンには有名な、定岡がセカンドに牽制悪送球して負けたっていう、あの試合。
もちろんプロ野球も連れてってもらってたよ。今でも忘れられないのが、江本孟紀さんが二打席連続でホームラン打った試合!甲子園のレフトアルプスで父と並んで座ってて、打球が2回とも目の前をビューンって横切って、子供心にめちゃくちゃ興奮したのを覚えてる。
……でもさ、大人になってから「ほんとにそんなことある?」って、自分の記憶がちょっと怪しくなって。だって江本さんってピッチャーだよ? でもね、ある日ラジオで江本さん自身が「二打席連続で打ったことあるよ」って話してて、そのとき一気に記憶がつながったの。調べたら昭和51年の5月5日だった。あたし、小学二年生。
うちの父ね、巨人のレジェンド川上哲治さんと同じ高校なのに、めっちゃアンチ巨人で。あたし自身は、最初はどこのチームでもいいって感じだったなあ。あの時代、誰もがテレビで野球観てたし、放送はだいたい巨人戦だったから、「巨人がんばれ」か「くたばれジャイアンツ」か、どっちかに分かれるのは仕方ないよね。けど思うの、アンチ巨人って、結局すっごい巨人ファンなのよ。
あたしたちの頃のヒーローといえば、やっぱり王貞治さん。今の大谷翔平くんみたいな存在っていうか、それ以上のオーラがあったかもしれない。メジャーリーグの本塁打記録、ベーブ・ルースとかハンク・アーロンとか、どんどん塗り替えてく姿に、ファンもアンチも関係なく熱狂してた。715号も、756号も、あたし覚えてるもん。
長嶋茂雄さんはね、あたしが観る前に引退しちゃってて、現役時代は知らないんだ。でも父や周りの大人たちから、ずーっと話は聞いてた。「長嶋のようなスターはもう現れない」ってみんな口を揃えて言ってたなあ。実際にはさ、スター選手はその後も山ほど出てきたけど、でもその世代にとっては、長嶋こそが唯一無二のスーパースターなのね。それでいいと思うのよ、ほんとに。
今日の試合前に、長嶋さんを偲んで黙祷を捧げたとき、エスコンの観客が約一分間、完全にシーーンとしたでしょ。交流戦で関西からたくさん阪神ファンが来ててさ、試合前からドンチャン大盛り上がりしてたんだけど、黙祷では本当に誰もが厳粛にしてたの。あたし、いいなって思った。長嶋さん、あなたが盛り上げて国民的娯楽にまで押し上げてくれたこの国のプロ野球は、今もこんなに愛され続けていますよって、ちょっとホロっとしちゃったの。