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スランプとご機嫌力
成瀬英樹
成瀬英樹
6月23日 9:53

おはようございます!
 

56年半も生きていると、さすがにいろんなことに耐性がつき、対処方法もわかる。自分の心が「持っていかれる方向」の傾向も理解しているし、「何を大切にしなくてはいけないか」もしっかり胸に刻み込んでいる。
 

どんな人間にも波があり、その波を小さくしたり、目立たなくしたりして、やり過ごすのが社会的には正しいのだろう。でも、僕のような仕事では、その「波」を自分自身でどう乗りこなすかが何より大切だ。このオンボロで傷つきやすい繊細な心も、少し飛行機に乗るだけで汗が止まらなくなる小心さも、実は僕の仕事には欠かせない。
 

作曲の過程のほとんどは「選ぶこと」――これが核心だ。たとえば、Aメロを3つの候補から選ぶ、サビに向かうコード進行をどうするか、あるいは歌詞の語尾を「だ」にするか「ね」にするか、そんな細部まで。にもかかわらず、今の僕は、自分の曲をジャッジできなくなっている。これではいけない。そう、スランプとはメロディが浮かばなくなるわけではない。「何がいいのかわからなくなること」なのだ。
 

そもそも、このスランプは自ら望んで招いたものだ。
 

たとえて言うなら、コツコツ当てていけば、僕だってベテランだ。小さなヒットは打てるかもしれない。でも、僕が打ちたいのはホームランだ。やはり、スタンドに強烈な打球を突き刺したい。そのためにはフルスイングが欠かせない。だからこそ、いまスイングを見直している。
 

こんなふうにスランプ気味のときは、好きな人に会ったり、気分よく暮らしたりするのがいちばんだ。先週の家族との時間は、僕にとって実に心地よかった。「いい気分」――それこそが、僕が創作において何より大切にしているものだ。
 

伊藤銀次師匠は、それを「ご機嫌力」と呼んだ。
 

気分を整えるために、昨日、本棚を一つ買った。僕の身長より高いそれは、天井に突っ張り棒で固定できるタイプだ。部屋中に散らばっていた本を並べ、背表紙を眺めているだけで、ずいぶん気持ちが落ち着く。最近は電子書籍を買うことが多い。でも、リアルな本の魅力はやっぱり抗いがたい。
 

さて、これから歌詞書きの続き配信をします。仮歌詞ではなく「ガチ歌詞」、しかも数曲あるので、どれくらい時間がかかるか見当がつかないけれど、ソングライターがうなっている姿に興味があるメンバーは、ぜひ応援しに来てください。
 

みんなは今日、「ご機嫌」でいますか?

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