blog

CALENDAR

2025年4月

スプートニクって、「旅の連れ」って意味なんだよ
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
3月26日 9:53

おはようございます!

昨日は生配信のあと、続きのアレンジ作業を。

ゼミ生で60代のイラストレーター・斉藤さん、音楽はほぼ初心者ながら、キープ常連の彼の熱い楽曲に、僕のロック魂が久しぶりに点火。ガツンと歌わせていただきました。

今日の配信は必見です。ほんのちょっと手を加えただけで、ぐっと強くなる楽曲の見本。斉藤さん、ありがとうございます。
 

午後から夕方にかけては、自分の作曲を。ふとイメージが湧いてきたので、ガットギターをかき鳴らしながら、いい感じのメロディができたんじゃないかなと思います。
こういうのは、一晩寝かせるのが大事。今から配信で聴き返してみようと思います。

夜は、小樽まで電車でひとっ走り。僕の最寄り駅から小樽までは、片道で1時間かからないくらい。

というのも、オーディブルで春樹さんの『スプートニクの恋人』を聴きはじめたら止まらなくなってしまって。あまりに孤独な話なので、部屋で聴いているのがつらくなって、外で聴こうと思ったのです。雪はほとんどなくなったとはいえ、夜の散歩には札幌の夜はまだ寒すぎる。

それならばと、電車に揺られながら、その世界にじっくりと浸ることにしました。

いや、結果的にすごくいい読書体験でした。宮崎あおいさんの朗読の素晴らしさもあって、僕にとっては春樹さん作品の中でも正直あまり得意じゃなかった(というか、一番苦手だったかもしれない)この物語が、心に染み入りました。

小説って、何度も読むと本当に印象が変わるんですね。
『スプートニクの恋人』、何回目だろう。そして、これからの人生であと何度読むことになるんだろう。

さあ、水曜日!
今朝も、作曲生配信やっていきますよ!


この続きを読むには メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース への登録が必要です。

あきらめをありがとう
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
3月25日 10:29

今朝起きてXを眺めていたら、懐かしい名前を見つけた。丸山茂雄さん。この動画の中で、僕の人生を変えた一言をくれた方だ。昨年の初夏の記事が、なぜ今ごろ広告として流れてくるのかはよくわからないが、尊敬する村井邦彦さんとの対談を、僕は楽しく読んだ。
 

1995年1月10日。阪神淡路大震災の一週間前、神戸のライブハウス「チキンジョージ」で、僕たちのバンド FOURTRIPS は、大切なライブを行った。
 

伊藤銀次さんのもとで一年以上かけて鍛えてきた楽曲とステージング。その集大成として、当時のソニー社長・丸山さんを招いてのプレゼンテーションライブだった。銀次さんが「神戸におもしろいバンドがいる」と丸山さんに売り込んでくれたわけだ。僕たちはこの日のために徹底的に準備を重ね、全力で演奏し、歌った。
 

ライブ後、丸山さんは打ち上げの席で僕にこう言った。
「成瀬、お前はアーティストっぽくねえな」
 

穏やかな口調だったが、僕には強く響いた。それは音楽性や歌唱ではなく、自分という人間に対する評価だったからだ。そんなわけで、僕たちはソニーからのデビューを逃した。
 

丸山さんは、エピックソニーで佐野元春さん、大江千里さん、渡辺美里さん、ザ・モッズなどを見出してきた。そんな丸山さんが僕を見て、そう判断したのだという事実を、僕はすぐには受け止めきれなかった。それは、「持って生まれたもの」の話だった。努力では超えられない一線を、丸山さんははっきりと示してくれたのだ。
 

当時の僕は、心のなかで小さく反発していた。「でも、大江千里さんだってポップじゃないか」と。だけど今ならわかる。丸山さんが言ったのは、音楽のスタイルではなく、アーティストとしての核に関わることだった。あの言葉は、紛れもなく真実だった。僕は「彼らのようなアーティスト」ではない。
 

それでも、自分が声をかけて集めたバンドだった。「絶対にプロにする」と言ってバンドに巻き込んだメンバーたち。学生もいれば、社会人もいた。それでもこのバンドに賭けてくれた。だからこそ、自分の力不足でそのチャンスを逃したことが、何よりもつらかった。
 

だからと言って、一体どうすれば「アーティストっぽく」なれるのか。僕は完全に迷った。
 

その10日後、阪神淡路大震災が起きた。バンドどころではなくなった。
 

それでも僕たちは、少しずつ活動を再開した。翌年、まったく違うプロデューサーから声をかけてもらい、FUN HOUSEからデビューすることができた。デビュー曲は、TBS木曜10時のテレビドラマ主題歌に抜擢された。
 

僕は東京へ出て、最初の3ヶ月間だけ、突然、芸能界の真ん中に放り込まれることになった。テレビに出演し、雑誌にも掲載された。全国を飛びまわり、ラジオのプロモーションにも勤しんだ。けれど、その渦中で、僕の頭にはずっと一つの疑問があった。
 

「僕は、なぜここにいるんだろう?」

日々が目まぐるしく過ぎていくなか、自分の足元が見えなくなっていった。そして、ここで当たり前のことにはっきりと気づかされた。デビューするということは、福山雅治さんやB’zのようなアーティストたちと同じ舞台に立つことなのだと。同期デビューのスガシカオさんの曲を聴いて、本気で神戸に帰ろうと思った。僕が彼らに立ち向かえるはずがないじゃないか。アーティストとして生まれ落ちるということは、ああいうことなのだ。

もちろん、今も音楽は僕の中心にある。歌い、曲を作り、人と音を共有している。ただ、あの頃のように“ど真ん中”に立つことはもうない。それは、逃げたわけではなく、選び取った立ち位置だ。「作曲」でなら、努力と工夫でなんとかなるんじゃないか。

まがりくねった道だったけど、なんとかなったんだろうか? そしてこれからも「なんとかなる」ためには、どのくらいの努力が必要なのだろうと思うと、気が遠くなる。

が、今の僕は自信を持って言える。僕はアーティストだ。
「職業としてのアーティスト」ではなく、生きていく過程こそが「アート」だと気がついたのだ。そしてそれを決めるのは僕自身だ。

僕が僕を裏切るようなことをしなければ、僕は僕をアーティストとして認め続けるだろう。僕がここから降りさえしなければ。56歳になった今だからこそ、あのときの丸山さんの言葉をよく思い出す。あれは、僕の道を決定づける一言だった。あの言葉がなければ、その後の人生で、もっと深く傷ついていただろう。

丸山さんに、感謝しています。あきらめさせていただいて、ありがとうございました。あきらめたからこそ、あきらめない覚悟が出来たのです。お会いしたのはあの一度きりですが、本当にありがとうございました。あのときの言葉を、僕は今でも大切にしています。そして、これからもずっと忘れません。

この続きを読むには メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース への登録が必要です。

お昼休み配信だよー!
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
3月24日 12:02

この投稿を読むには メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース への登録が必要です。

表題を獲りたいなら、追いかけるな
成瀬英樹
成瀬英樹
3月22日 11:08

作曲家志望の方が、アイドルに向けて“いかにも”なアイドルソングを書いてしまうこと、よくあります。若い方も、そうでない方も、最初はその“間違い”をやってしまいがちなんです。
 

でもね、アイドルに向けてアイドルソングを書いていいのは、ごく一部のエリート作曲家だけです。これは、僕が何年もかけて現場で見てきたうえでの実感で、間違いありません。
 

もう一度、言いますね。アイドルに向けてアイドルソングを書いていいのは、ごく一部のエリート作曲家だけ。「成瀬クラス」のポンコツ作家は、まず“普通に良い曲”を書こうよ。


アイドルに曲を書くというのは、そこにお化粧や装飾が加わって完成するもの。でも、まだ曲作りの基本が身についていない段階で、そういったお化粧に意識が向いてしまうと、ゴテゴテして中身のよくわからない曲になってしまうことが、本当に多いんですよ。

 

エリート作家の書くアイドルソングというのは、まず曲そのもの、メロディーそのものが素晴らしい。その上で、お化粧や装飾が施されているからこそ、魅力的なんですよね。そこに目を向けてみて。だからこそ、まず目指してほしいのは「良い曲」を書くこと。ピアノ一本、ギター一本で聴いても美しいと思えるような楽曲。それが絶対的な基本です。
 

バンドをやっていた方がコンペで結果を出しやすいのも、実はここが理由だったりします。バンドというのは、限られた編成でアレンジを工夫する必要がある。ドラム、ベース、ギター、キーボード。この基本編成だけで曲を仕上げていくスキルは、本当に大きな力になります。
 

一方で、DTMから音楽を始めた方や、青春時代にアイドルソングばかりを聴いていた方は、「お化粧」に頼りすぎてしまい、曲そのものの良さをないがしろにしてしまう。そうなると、編成がシンプルになったとたん、その曲の“つまらなさ”が露呈してしまうんです。
 

本質を、しっかり見てほしい。だから僕はいつもこう言っています。
 

「乃木坂の採用をとりたいなら、乃木坂を追いかけるな」
 

そのまま真似するのではなく、乃木坂の表題曲を生み出した作家たちが、何を聴いて育ったのかを辿ってください。さらに言うと、彼らに影響を与えたアーティストの、そのまた源流まで遡って聴いてみてください。
 

そのうえで、あなた自身のフィルターを通して、令和のアイドルソングを新しく創り出すこと。この意思こそが、現状を打破する道だと僕は考えています。そして結果的に長く続けられるソングライターになる近道だと思います。
 

まずは、いい曲を書こう。ピアノ1本でも、ギター1本でも、美しいと思える曲を。お化粧はそのあとでいい。まっすぐなメロディが、ちゃんと聴こえてくるなら大丈夫。焦らなくていいんだよ。長く続けるために、今やるべきことはシンプルなんだから。

キャロル・キングに愛をこめて
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
3月21日 11:24

おはようございます。昨日はラジオ番組『POP A to Z』の収録をしておりました。現在放送中の特集「グレート・ソングライター・ファイル」、ついにキャロル・キング&ジェリー・ゴフィンの巻!

 

この「グレート・ソングライター・ファイル」で取り上げているアメリカのソングライターのなかでも、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンは、J-POPにもっとも直接的な影響を与えている存在かもしれません。そして何より、「シンガーソングライター」という言葉そのものが、彼女のために生まれたといっても過言ではありません。つまり、私たちが普段何気なく使っている「シンガーソングライター」という言葉は、もともとキャロル・キングを指していたのです。

 

そして、ポップスの源流とも呼べる最重要曲が、彼女とゴフィンが手がけた『Will You Love Me Tomorrow』。シュレルズが歌い、黒人ガールグループとして初の全米No.1を記録したこの楽曲は、ビートルズ登場以前のポップスの原点とも言える一曲です。

 

この曲の成功で、まだ10代だったキャロル・キングとジェリー・ゴフィンは一躍スターソングライターとなりました。その後、ふたりはしばらく黄金期を過ごしますが、そのアメリカンポップスの時代を塗り替えてしまったのが、イギリスからやってきたバンド──ビートルズでした。

 

ビートルズは自分たちで曲を書き、自分たちで演奏し、自分たちで歌いました。専業作曲家が必要なかったのです。その作曲クレジットは「レノン=マッカートニー」。これは、キング&ゴフィンやリーバー&ストーラーといったソングライターチームへの憧れから生まれた、「どちらが書いても二人の名前で発表しよう」という約束に基づいています。つまり、キャロル・キングたちは、後に自分たちに影響を受けた若きアーティストたちに仕事を“奪われて”いくわけです。その皮肉さも、音楽史としてとても興味深いものです。

 

ですが、キャロル・キングはそこで終わるような人ではありませんでした。60年代にはモンキーズなどに楽曲を提供しつつ、しだいに自ら歌う方向へと(本人は最初は乗り気ではなかったようですが)シフトしていきます。1968年には「シティ」というバンドを結成。これは隠れた名盤として知られ、私も常にターンテーブルのそばに置いているほどのお気に入りのアルバムです。

 

そしてついに、ソロシンガーとしてデビュー。ジェームス・テイラーやジョニ・ミッチェルと並び称されるようになり、「シンガーソングライター」と呼ばれるようになりました。ただし彼女の場合は、もともと作家であり、「作家が歌うようになった」結果としてのシンガーソングライターだったのです。歴史の流れで言えば、ビートルズが解散し、華やかで政治的だった60年代が終わったあとの「内省の時代」。またここで、ポップスの登場人物たちが入れ替わるのです。面白いですよね。

 

そんな彼女が世に送り出したセカンド・アルバムが名盤『Tapestry(つづれおり)』。もはや説明のいらないほど有名な一枚ですが、それでもお若い方や洋楽をあまり聴かない方の中には、まだ知らないという人もいるかもしれません。私は声を大にして言いたいのです。「どんなビートルズやビーチ・ボーイズや、その他の名盤よりも、まずはこれを聴いてください」と。特にソングライターを目指す方、いい曲を書きたいと思っている方には、なおさらです。

 

このアルバムが素晴らしいと感じられるようになること──その心のチューニングこそが、「普遍性」を理解する第一歩になると私は思っています。なぜなら『Tapestry』は、全世界で2200万枚以上を売り上げ、今なお数えきれないアーティストに影響を与え続けているからです。その影響は、世代を超えて広がっています。

 

このアルバムには、R&Bやガールズポップ、そして内省的なシンガーソングライターの要素までもが凝縮されています。先ほどの『Will You Love Me Tomorrow』のセルフカバーや、アレサ・フランクリンに提供した『(You Make Me Feel Like a) Natural Woman』なども収録されています。

 

そんなキャロル・キングとジェリー・ゴフィンの特集を、たった30分にまとめるのは正直とても難しかったです。私は彼らの大ファンで、これまで7年の番組の中で何度も彼らの曲をかけていますので、曲の重複を避けるのも至難の業でした。だから今回は、初めてキャロル・キングを聴く方のために、選曲を一から見直しました。

 

今週土曜日、22時30分から放送の『成瀬英樹のPOP A to Z』。「グレート・ソングライター・ファイル」特集、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィン。ぜひ楽しみにしていてくださいね。

 

そして夕方には、新しい曲の作曲生配信も収録いたしました。ナッポさんが制作されたトラックに、私がメロディーをのせていくというスタイル。かなりマニアックな内容にはなりましたが、トップライン制作に関心のある方には、きっと参考になる部分もあると思います。

 

続けて、『BINGO! AID 2025』のためにsproutさんが書いてくださった歌詞に、メロディーをつけていきました。こちらはいわゆる「詞先(しさき)」のスタイルです。詞先で曲を書くことは、作曲の基本を見直すうえでもとても大切なレッスンになると私は考えています。

 

そもそも日本のポップスというのは、詞先が主流だった時代が長かった。詞を読んで、その世界観を音楽で表現する。とてもシンプルですが奥深く、だからこそ作曲力が鍛えられる。特に初心者の方にとっても、大きな気づきを与えてくれる手法だと思っています。

 

今回の制作でも、とてもいい曲が生まれましたよ。お楽しみに!それでは、お互いに今日も一日がんばっていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

この続きを読むには メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース への登録が必要です。