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大きな背中
成瀬英樹
成瀬英樹
12月14日 18:03

おはようございます。
 

昨日は、尊敬する先輩、みのや雅彦さんのライブに行ってまいりました。
 

みのやさんとのご縁の始まりは一昨年、風輪さんのイベントに呼んでいただいた際のこと。同じくゲスト出演されていたみのや先輩と、楽屋がご一緒になったのがきっかけでした。
 

そこで伺った数々のエピソードに心を揺さぶられ、僕のような若輩者にも分け隔てなく接してくださるそのお人柄に、すっかり惚れ込んでしまったのです。
 

風輪さんからつながったこのご縁、心から感謝です。
 

今回のみのやさんライブにご一緒したのは、エスコンフィールドの外野スタンドで前後の席になり、1シーズン観戦をともにしたマダムと、その息子さん(僕より少し年下)、そしてマダムのお友達。
 

みなさん、みのやさんの大ファンで、現在関東にお住まいの息子さんは、東京でのライブにも足を運ぶほどの筋金入りだそうです。
 

みのや先輩のライブに伺うのは、今年3月以来。そのときはバンド編成が中心で、それももちろん素晴らしかったのですが、今回は全編弾き語り。個人的にも、これはもう楽しみでなりませんでした。
 

というのも、前回のライブでも数曲、弾き語りを披露してくださっていたのですが、それがもう言葉を失うほど素晴らしくて。やはり、フォークシンガーの真骨頂は「ギター一本の弾き語り」にあるのだと、改めて感じたのです。
 

まず何より、みのや先輩は本当に「歌が上手い」シンガーです。昨夜のステージでも、ピッチが揺らいだり、声が不安定になったりする瞬間は、ただの1フレーズもありませんでした。
 

その圧倒的な技術を土台にしながら、聴衆に「上手い」とは感じさせず、自然と歌の物語へ引き込んでいく。その「鍵」となるのが、歌詞の届け方です。
 

ライブという現場で、ここまでクリアに言葉が届く体験はそう多くありません。太く、甘く、そして実にエモーショナルな声で、歌ごとに鮮やかな物語が立ち上がっていきます。
 

そして、その世界を支えているのが、みのやさんのアコースティックギター。「ギターは世界一小さなオーケストラ」と言われますが、まさにその言葉通りでした。僕は終始、みのやさんの右手から目が離せませんでした。
 

分散和音で太く響く低音。その深みは、親指につけたサムピックに秘密があるのでしょうか。スリーフィンガーとフォーフィンガーを自然に行き来しながら、まるでミニオーケストラを指揮するように音を紡いでいきます。かと思えば、強いビートを刻むストロークプレイでは、強拍と弱拍でピックの当てどころを絶妙に変えているんです。そのニュアンスが、演奏に立体感と色彩を与えていました。
 

そういえば、中学生のころ、僕がアコギを始めたときにお手本にしたミュージシャンたちも、みんなこうしてストロークに「色」をつけて弾いていたな、と思い出しました。僕自身も、よくそれを真似したものです。先輩はいったい、どんなギタリストたちから影響を受けて、この唯一無二のスタイルを身につけてこられたのだろう。そんなことを考えながら、音に身を委ねていました。
 

ライブが終わったあとには、ご一緒したみなさんと「最高でしたね」と感動を分かち合いました。いやあ、本当に、たくさん泣かせていただきました。
 

終演後にお会いしたみのや先輩は、「いつもブログ見てますよ。『BINGO』の作家のみなさんもご活躍ですね」と、声をかけてくださいました。あまりの光栄さに、「ありがとうございます」以上の強い言葉が見つかりません。結局、深く頭を下げて、感謝をお伝えすることしかできませんでした。
 

先輩はお仲間のみなさんにも優しく声をかけてくださり、みんな本当に喜んでいらっしゃいました。
 

みのや先輩はお笑いもお好きだそうで、元・吉本興業の僕としては、そのあたりもいつかゆっくりお話しできたらいいな、なんて思いつつ。MCで、こんなことをおっしゃっていたのが印象に残っています。 曰く「お笑いの人たちってのはね、マイク一本で表現できるところがすごいんだよね!」と。
 

確かにそうなんですよね、と首肯しながらも……。 いや、しかしながら先輩。僕に言わせていただくなら、ですよ。
 

ギター一本で44年間、北海道を中心に、全国の人たちの心を震わせ続けてきた先輩が、来年、45年目を迎えられる。ギター一本で、一晩に20近くもの物語を紡ぎ、人の心を揺さぶること。それこそが、本当に「すごい」ことだと、僕は思います。
 

自分もその道を志し、今も歩んでいるからこそ、その重みがわかるつもりでおります。
 

僕は来年、作曲家として20年目。再来年には、ミュージシャンとしてデビュー30年を迎えます。先輩の背中にはまだまだ遠く及びませんが、これからも音楽にまみれながら生きていきます。
 

少しでもその背中に追いつけるように。

B1グランプリ 振り返り
BINGO Songwriting Club 「成瀬英樹ゼミ」 メンバー マイソングプラン 成瀬英樹ゼミ マンスリープラン
成瀬英樹
成瀬英樹
12月13日 10:13

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死の気配
成瀬英樹
成瀬英樹
12月9日 22:12

何はともあれ、地震の話だ。昨夜の大きな地震。僕は北海道新幹線の車中にいた。場所は青森県のいちばん北の端あたり。あと数十分もすれば終点の新函館北斗に着くという地点だ。
 

皮肉な話だ。僕は本来なら、空を飛んで帰るはずだったんだから。雪のせいで機材の到着が遅れ、二時間半ものディレイになると告げられた。「条件付きフライト」というやつだ。途中で引き返す可能性もある、という。それでは札幌での大切な打ち合わせに間に合わない。僕は「もうダメだ」と判断し、あっさりチケットをキャンセルした。人生なんてそんなものだ。計画通りになんて進まない。
 

僕は急遽、地上を走る新幹線で帰ることにした。仕事をキャンセルした今、特に急ぐ理由もない。こんな機会でもなきゃ、陸路で北海道へ行こうなんて思わないものな。
 

夜の七時半、東京駅から函館ゆきの新幹線に乗り込んだ。長い移動だが、快適なシートに身を預け、僕はリラックスしていた。前日のBINGOの仲間たちとの楽しいパーティーのことを思っていた。ミュージシャンもお客さんも、みんな笑顔だった。楽しかった。やってよかった。新幹線は順調に夜の東北を滑り抜け、「次は終点の新函館北斗です」というアナウンスが流れた。その、瞬間。
 

突然、パチッと音がして電気が消えた。同時に、鋭いブレーキ。直後、けたたましい警告音。「地震です。地震です、地震です」。そして、凄まじい揺れ。比喩じゃなく、本当に生きた心地がしなかった。僕は神戸の激震も体験してきた人間だが、震度六強クラスの揺れを、時速数百キロで走る密室の中で受けるというのは、考えうる限り「最悪の場所」の一つだと言っていい。
 

揺れが収まる。静かな暗闇。インクを流したような濃い闇だ。窓の外を見ると、トンネルの中ではないことだけは分かった。それだけが小さな救いだった。もしトンネルの中だったら――その先は、想像したくなかったからね。
 

僕はこれまでの人生でいちばん、死の気配を近くに感じていた。間違いなく。
 

その時、手元のiPhone。北欧を旅している娘からの、家族通話の着信だった。一昨日もビデオ通話で、フィンランドの素敵な街並みを案内してくれた。今日はどこにいるのだろう。でも、僕は電話に出なかったんだ。声が聞きたかったけれど、今の状況を知ったら、彼女優しい子だから、ひどく心配しちゃうだろうなって。
 

その時、僕の胸に浮かんだのは、奇妙なほど静かな思いだった。このまま、もし、もう娘に会えなくなったとしても、それでも今ここで心配をかけないほうがいい。恐怖よりも、そういう気持ちのほうが、はっきりと勝っていた。もしここで僕が「怖いよ」と言ってしまったら、遠く離れた異国の地で、彼女は何もできないまま、ただ無力感と精神的パニックを抱えることになるじゃないか。
 

その時ふと気づいた。どうしようもなく怯えていながら、「心配をかけたくない」と思えた自分のことを、僕は少しだけ誇らしく感じていた。その瞬間、ほんの少し強くなれた気がしたんだ。
 

暗闇の中で、僕は目を閉じた。自分の人生を、一枚のアルバムをめくるように静かに振り返っていた。本当に、楽しい人生だった。好きな音楽をやらせてもらった。素敵な家族に恵まれた。そして、最高の娘に恵まれた。前の日、僕は最高な仲間たちと最高のパーティーを終えたばかりだった。変な言い方だけれど、死ぬなら、これ以上ないタイミングだな、とすら思った。
 

そう思えた瞬間、すっと気持ちが軽くなった。もう、何が来てもいい――そう思えた。それは恐怖の中に混じった、不思議な温度のある、奇妙な安らぎだった。確かに本当に怖かった。それでも、今も、その「いい気持ち」だけが、なぜか記憶の底に沈殿している。
 

車内では、乗客たちが次々と電話をかけ始めていた。「仕事に間に合いません」「大丈夫か?」。安否を確かめ合う声があちこちから聞こえる。その事実だけで、少しだけ安心できた。やがて車掌の冷静なアナウンスが流れた。事実を落ち着いて伝えてくれた。震度六強の地震のため停電していること。津波警報が出ているようだが、ここは山側で心配はないこと。外気の冷えを防ぐため、お客様に窓のシェードを下ろしてほしいこと――。
 

僕は電話をしなかった。バッテリーを無駄にしたくなかったし、SNSのノイズを見たところで現実は何も変わらない。ただ目を閉じて、楽しいことだけを考えた。この暗闇で感じたことは、きっと僕の一生の財産になる。そうでなければ、音楽の神様が、わざわざこんな揺れの激しい場所で僕を足止めして、こんな体験をさせたりはしないだろうと言い聞かせた。すべての休符に意味があるように、この停止にも意味があるはずだ。
 

やがて、パチン、と音がして、車内に灯りが戻った。誰かが大きく息を吐き、連鎖するようにみんなが「はあ」とため息をついた。僕はすぐに家族通話に参加した。「実はね」と、さっきまでの出来事をすべて話したら驚いていた。もう大丈夫だよ、と僕は伝えた。大丈夫、電気さえ来ていればなんとかなるんだ。
 

止まっていたのは、たぶん三十分ほど。あの時間は永遠みたいに長く感じたけれど、時計の針は三十分しか進んでいなかった。
 

新幹線は再び走り出し、新函館北斗に着いた。在来線は止まっていたので、函館駅へ向かう客のために、JRが大量のタクシーを手早く手配してくれた。乗車券を見せるだけで、無料で函館駅まで送ってくれた。ホテルは津波警報の対応で慌ただしかった。「ここもかなり揺れたんです」と彼らは言った。僕はもう、怖がっても仕方がないと思って、そのまま泥のように眠った。翌朝、そこから三時間半かけて、家に帰ってきた。

歴史の一部に
成瀬英樹
成瀬英樹
12月7日 7:40

一昨日夜は、湘南時代によく通っていた平塚のレコードバー「Hobo」へ、久しぶりに足を運びました。ここのマスター、家永さんは、僕のアルバム『Kimi Wa Melody』のジャケットを描いてくれた恩人です。JBLのスピーカーで浴びるジョン・レノン。数時間、聴き手の心を直接刺激するその魅力を、あらためてドカンと感じました。爆音最高。いやあ、本当に気持ちよかった。
 

そして昨日は、日本武道館。AKB48の20周年記念ライブ、昼・夜の両公演を見届けてきました。昼公演は現役メンバーによるツアーファイナルで、20年の歴史を彩る「ヒット曲メドレー」の中、2007年代表として『BINGO!』、2016年代表として『君はメロディー』の2曲が選ばれ、さすがに心が沸き立ちました。ビートルズも、チープ・トリックも立った、武道館という憧れのハコで、自分の作ったメロディーが、20年の歴史の節目として鳴り響く。素晴らしいステージ演出も相まって、もうね、涙が止まりませんでしたよ。
 

夜公演には、指原さん、たかみなさん、小嶋陽菜さん、柏木由紀さん、峯岸みーちゃんらOGが集結しました。みんな、僕にしたら同志みたいなものです。2007年、『BINGO!』をシングルに採用いただき、オリコン6位まで上がったんだけど、6位、ですからね。そこから1位になるまでの苦難の道を、僕も一緒に歩んできました。そんな中、指原莉乃さんは『BINGO!』をオーディションで歌って、AKB48に合格するんです。わお。歴史だね。
 

圧巻だったのは、OGと現役で披露した現役AKBソング『根も葉もRumor』。OGたちが、あのハードなダンスを、現役のキレでビシッと決める。ああ、これがAKB48なんだった。この本気感。魂を見せつけられた気がしました。初期のAKBなんて、曲を書かせてもらっていた僕から見ても、歌もダンスも、おしゃべりだって、本当にひどいもんだった(笑)。でも、その「何もなかった少女たち」が、泥だらけでエンターテイナーへと駆け上がっていく様こそが、僕たちの心を震わせたんだよ。最初から完成されている今の現役の子たちには、また別の難しさがあるのかもしれない。でも、昨日のステージは、歴史の重みと新しい光が交差する、本当に素晴らしいライブでした。
 

そんな神曲たちの本編ラスト、最後に歌われたのは、僕の曲『ひこうき雲』でした。前日のOG公演でも、アンコールで歌ってくれていたそうで、2日連続、武道館。20周年のフィナーレに、この曲を選んでくれたこと。作曲家として、歴史の一部になれたことを誇りに思います。AKB48、20周年、本当におめでとう。これからも、その物語を見続けさせてください。


さあ、そして。今日はいよいよ「BINGOパーティー」です。皆さん、笑顔だけ持ってきてください!と言いたいところですが、会費は現金で持ってきてください!(笑)会場で会いましょう。

そのメロディを、AIに渡すな ――「A1グランプリ」前夜・哲人と青年の対話―― 第一夜: 音楽は誰のものか
成瀬英樹
成瀬英樹
12月3日 12:30

そのメロディを、AIに渡すな
 

――「A1グランプリ」前夜・哲人と青年の対話――
 

第一夜: 音楽は誰のものか 

 

青年: 先生、単刀直入にお聞きしますよ。あなたは「音楽の死」を招くつもりですか?
 

哲人: 穏やかではありませんね。なぜそう思うのですか?
 

青年: 「A1グランプリ」のことですよ! 生成AIを使った作曲コンテストだなんて。AIに曲を作らせて、人間は何をするんです? ボタンを押すだけ? それはもはや「創作」とは呼べない。ただの「出力」です。僕は認めない。絶対に認めませんよ!
 

哲人: ふふっ。あなたは昭和歌謡を愛する、芯のあるクリエイターだ。だからこそ、その怒りはもっともです。しかし、誤解があります。
 

青年: 誤解?
 

哲人: 私はAIに「すべてを作らせる」つもりなど毛頭ありません。むしろ逆です。「人間が人間であるための領分」を守るために、AIという猛獣を飼いならす。その実験をしようと言っているのです。
 

青年: 猛獣を飼いならす……?
 

哲人: そう。例えば、あなたはメロディと歌詞を作るのは得意ですね? 先ほども「一時間で書けた」と言っていました。
 

青年: ええ、まあ。頭の中に中森明菜さんのような世界観があれば、メロディは降りてきますから。でも、それを形にする「トラックメイク」や「アレンジ」が苦手なんです。DAW(作曲ソフト)の操作は複雑だし、イメージ通りの音にならない。
 

哲人: そこです。あなたの頭の中には、すでに素晴らしい「音楽」が鳴っている。しかし、技術的な障壁(ボトルネック)のせいで、それがスピーカーから流れてこない。これは「音楽の損失」だとは思いませんか?
 

青年: それは……悔しいですが、そうです。
 

哲人: ならば、そのボトルネックだけをAIに解消させればいい。あなたが握るべきは「メロディ」と「言葉」というハンドマイクです。バックバンドの手配や演奏は、Sunoという優秀な――しかし少々癖のある――アレンジャーに任せてしまえばいいのです。

 

第二夜: 欲まみれの人生を
 

青年: 言葉では何とでも言えます。じゃあ実際、どうやるんです? AIなんて、結局は機械的な冷たい音しか出さないでしょう?
 

哲人: 論より証拠です。やってみましょう。あなたの作った、あの中森明菜風のデモ音源を出してください。
 

青年: ……これです。「ぬるっとした」歌詞とメロディですが。 (再生:♪海の向こうの白い波の~)
 

哲人: 素晴らしい。コード進行は音楽理論的には破綻していますが(笑)、メロディには力がある。この「魂」の部分は、AIには作れません。あなたが作ったのです。 では、このボーカルデータだけを抽出して、Sunoに投げ込みます。プロンプト(指示)はどうしますか?
 

青年: うーん……やっぱり「中森明菜」さん風で。「十戒」みたいな、80年代の尖った感じで。
 

哲人: いいですね。「80s Japanese Synth Pop」「Dark」「Dangerous」「Minor Key」。呪文のようですが、これでAIに「文脈」を伝えるのです。さあ、生成(Create)ボタンを押してください。
 

青年: ……たった20秒で、もう出来たんですか?
 

哲人: 聴いてみましょう。
 

(再生音) ♪ エンドはあっさりばっさりと…… ♪ 欲まみれの人生を 今生きてる……
 

青年: ……!! こ、これは……!
 

哲人: どうですか?
 

青年: 悔しいけど、カッコいいです。ちゃんと「十戒」っぽい緊迫感がある。しかも、僕が適当に歌ったメロディが、プロの歌声で、バキバキのアレンジに乗って再生されている。
 

哲人: あなたは今、スピーカーから流れてくる曲を聴いて、「AIが作った曲だ」と感じましたか? それとも「自分の曲だ」と感じましたか?
 

青年: ……「僕の曲」です。だって、メロディも歌詞も、僕が考えたものですから。AIはそれを……何と言うか、「翻訳」してくれたような感覚です。
 

哲人: その通り。AIは「鏡」であり「拡張機能」に過ぎないのです。
 

第三夜: プロデュースという創造
 

青年: でも先生、これでは簡単すぎませんか? 苦労して楽器を練習した人の立場は?
 

哲人: 確かに「弾く技術」の価値は変わるかもしれません。しかし、これからの時代に問われるのは「選ぶ技術」です。 AIは、放っておけば平凡な曲も出すし、変なコード進行も出してくる。さっきのE7のコードのようにね。
 

青年: ああ、あの独特な響きのところですね。
 

哲人: そう。あれを「失敗」として捨てるか、「味」として採用するか。その「ジャッジ(審美眼)」こそが、人間のクリエイターに残された最後の、そして最大の聖域です。 大滝詠一さんが細川たかしさんをプロデュースするように、あなたがAIをプロデュースするのです。
 

青年: 僕が、AIのプロデューサーになる……。
 

哲人: そうです。これからのA1グランプリは、そういう戦いになります。「AIに作らせた」のではなく、「AIを使いこなして、自分の世界を表現した」人間が勝つ。 どうですか? 「欲まみれの人生」を、AIと共に歩む勇気は出ましたか?
 

青年: (少し笑って)欲まみれは嫌ですが……でも、自分のメロディがこうやって形になるのは、素直に興奮します。
 

哲人: その「興奮」こそが、創作の源泉です。道具が変わっても、人間が感動するメカニズムは変わらない。 さあ、行きましょう。新しい音楽の夜明けは、もう始まっていますよ。
 

(完)