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ぐんぐん郡司のサヨナラホームランの巻〜僕のファイターズ大航海日誌 #14
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
4月12日 10:05

締め切りまで少し時間がある作曲の仕事を、毎日少しずつ進めている。
 

今回は、僕を含めた三人でのコライト(共作)。先手の「トラックメーカー」がトラックを制作し、次に僕が「トップライン」(歌詞とメロディー)を乗せ(←イマココ)、最後にプロデューサー的な三人目が全体をまとめるという流れ。

一人で最後まで作るのとは違って、新しい視点を得られるのも利点だけれど、なんといっても、それぞれの得意分野を活かせるのがこのスタイルのいいところ。それぞれが自分の持ち場で、職人的に仕事をまっとうすればいい。だから僕はコライトでの作業がとても気に入っている。
 

「トップラインとは何か?」と思われるかもしれませんね。トップラインとは「歌詞とメロディー」のこと。平成までの「作曲」の概念では、トップラインを作ることがそのまま「作曲」と呼ばれていたけれど、今はもう違う。音を作る人(トラックメーカーやプロデューサー)も作曲クレジットに含めることが、当たり前になってきている。だから最近のヒット曲のクレジットには、たくさんの名前が並んでいることが多いのです。時代は変わる。どれだけ「変わらない普遍性」が大切だとしても、時代の流れには逆らえない部分がある。これからの「作曲家」にとって、「コライト」は必須になっていくと思う。


「シーズンシートですか?」
エスコンフィールドで試合がある日は、なるべく早めにライトスタンドのいつもの指定席に腰を下ろし、ビジターチームの打撃練習やファイターズのシートノックを眺めることにしている。そんなゆるやかな時間に、昨日は隣に座っていたご夫婦の男性が話しかけてきた。
 

「はい」と僕が答えると、「私たちも毎日ここに通っていて、いろんな席で観てるんですよ。ここの席にも今年あと何度か来ます。よろしくお願いしますね」と、にこやかに言ってくれた。
 

昨日は来場者全員にファイターズのユニフォームが配られていて、観客のほとんどがそれを着ていた。僕も着た。ブルーとブラックに染まったスタンドを見渡すと、まるで球場全体が、脈打つ巨大なひとつの生き物のようにうねっていた。
 

西武ライオンズの悲運のエース・今井達也、ファイターズは山崎福也。空前の投手戦。6回を終えて、両チームともノーヒット。結局、ふたりはともに8回を無失点で投げきったナイスピッチング。
 

ここからがファイターズのブルペンの見せ場だった。田中正義は伸びのあるストレートで、池田隆英はテンポよく、河野竜生は緩急を活かして、杉浦稔大は気迫で、それぞれの持ち場で職人たちは見事に期待に応えた。延長12回をゼロでつないだファイターズ投手陣、素晴らしかった。
 

そして延長12回裏。2アウト、ランナーなしで万波が四球で歩く。松本剛が代走。
 

そして場内にアナウンスが響いた。「代打、郡司」。打つべき手は打った。あとはそれぞれが、仕事をまっとうするだけだ。
 

アウトになれば試合終了という場面で、松本は見事に盗塁を決めた。そして郡司は、ツーストライクに追い込まれたあとの決めにいったフォークボールを、ライトへ――技ありのホームラン。打球は僕たちが待つライトスタンドへ向かって飛んできた。サヨナラホームラン。


 

誰もが立ち上がって、郡司の名前を呼んだ。名前を呼ぶことでしか表現できない感情がある。「郡司!」僕も叫んだ。前の席で一人でクールに観戦していた男性と僕はハイタッチした。隣のご夫婦とも硬く握手を交わした。
 

年に何度も見られないような試合を、何度も見せてくれたのが昨年のファイターズだった。今年も始まった、ついに、ちゃんと、始まった。

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真夜中のコライト配信!
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
4月11日 23:43

延長12回、郡司のサヨナラホームランで身体も心もほてって眠れそうにないので、静かに作曲配信、します!

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今日も生配信!
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成瀬英樹
成瀬英樹
4月11日 11:03

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クリエーターズ限定投稿!
クリエーターズ
成瀬英樹
成瀬英樹
4月10日 16:20

お疲れ様です!
 

今日の投稿はクリエーターズのみなさん限定になります。

 

いつも成瀬を応援してくれて本当にありがとうございます!

今年も『BINGO! AID』の季節がやってまいりました。この一年の『BINGO!』のみなさんの作品のショーケースとして、そしてささやかながらの社会貢献への試みとして、今年も企画させていただきます。

 

この一年でクリエーターズのみなさんと共作を進めてまいりました。もしみなさんの中で、「成瀬との共作の意思がおありの上」で「まだかなっていない方」がおられましたら、ぜひとも私と共作いたしましょう。

 

歌詞を書いていただいてもいいですし、メロディを僕がアレンジするのでも、僕がトップラインを書くのでも構いません。タイトルとイメージをお伝えいただくだけでも、オッケーです。

 

つきましては、ご参加の意思を4月15日までにお伝えいただけたら幸いです。「成瀬が忙しそうだから…」なんて遠慮はご無用です。逆に僕の方でも、4月15日の時点でのお申し出にて、一旦発売日のメドを立てさせていただきますね。こちらからどうぞ!

 

ぜひ、奮ってのご参加、お待ち申し上げております。

 

ここから一週間ほど、『BINGO! AID』制作に全振りしてまいります。生配信も(出張などもあり)不定期にはなるかもですが、ご視聴いただけたらとても嬉しいです。

 

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ついに!祝!ゼミ生の初採用!
成瀬英樹
成瀬英樹
4月9日 18:57

作曲家事務所には、二つの大きな役割があると僕は思っています。ひとつは作曲家に仕事を取ってくること。そしてもうひとつは、作曲家を見つけて育てること。
 

現在のJ-POPのヒット曲の多くは「コンペ」で作られています。でも、実はそのコンペに「参加させてもらうこと」自体がとても難しいんです。
 

僕はかつて応募した作曲家事務所全社に完全無視された経験があります。一曲とは言えオリコンにチャートインするようなヒット曲を書いたバンドのソングライターだったにもかかわらずです。甘い世界ではない、と感じずにはいられませんでした。まず提出できる機会自体が限られていて、ようやくデモを送れたとしても、その入り口に立つことすら難しいのが現実なんだと。
 

それでもあきらめずに、人に向けて曲を作るということを強く意識して再チャレンジしたところ、ようやく一社だけコンペに出させてもらえるようになりました。2001年の暮れでした。
 

その事務所には5年ほどデモを出し続けましたが、特にアドバイスをもらうこともなく、良くも悪くも放っておかれていたんです。それが僕にとっては幸いでもあり、少し寂しくもありました。誰からも口を出されなかったことで、自由に試行錯誤できた一方で、「これでいいのか」と迷いながら作り続ける日々は、孤独でした。

何も言われなかったおかげで、全く結果が出ていなかったにもかかわらず、5年も続けられた。でも多くの人にとっては、2~3曲出して反応がなければ、やめたくなってしまうのが自然だと思います。僕がなぜやめずにがんばれたかといえば、それはもう、生活のために必死だったから。それだけです。
 

だからこそ、自分が作曲家の事務所をやるなら「育成」に力を入れたいと、ずっと思ってきました。才能がある人は自然と大手事務所に囲われて、「エリート音楽シーン」ができあがっていく。大きなコンペは大きな事務所の作家から決まっていく。例外もあるかとは思いますが、考えてみればそれは当然の話です。音楽ビジネスはオリンピックじゃないのだから。
 

それでも、コンペに参加した楽曲のクレジットを見るたびに「いつも同じメンバーじゃないか」と唇をかみしめる日々が続きました。僕とこの作家のどこにそれほど差があるのか。悔しさは次の創作へのモチベーションになりました。

そこに風穴を開けてくれたのが、秋元康先生が手がけられた「AKB48」以降のコンペです。所属事務所も年齢も経歴も関係なく、ただ「曲がいいかどうか」で採用される。それを証明しているのが、僕です。それまで5年間どこでも決まらなかった僕の曲が、AKB48さんのコンペに初めて出した一曲で採用されたんです。その曲が『BINGO!』でした。

こうした経験を通して、僕は「結果が出ない才能ある人たちにこそ、チャンスを届けたい」と強く思い、立ち上げたのが、音楽事務所「BINGO!」です。最初に集まってくれたのは、これまで報われてこなかったミュージシャンたちでした。みんな30代後半から40代の、いわゆる「おっちゃん・おばちゃん世代」。音楽を長く続けてきたものの結果が出ず、それでも音楽を続けていく人たちです。
 

僕は、そんな彼らにコンペを紹介しました。なぜなら、彼らに“代表作”を作ってほしかったから。代表作があるかどうかで、その後の人生は大きく変わる。そのことを誰よりも痛感しているのが、僕自身です。もし『君はメロディー』がなければ、今の僕はなかったでしょう。
 

だからこそ、最初に集まってくれた仲間たちを“プロ作家”にするのが、僕の第一の目標でした。その結果、ネロがNMB48さん、マツダヒロがAKB48さんで作曲家デビュー、今年に入って白井大輔が「MATSURI」さんのデビュー曲『アヴァンチュール中目黒』で、オリコン1位を獲得することができました。「才能があるのに報われないミュージシャンにチャンスを」この目標が、ようやく第一段階に到達したと思っています。
 

そしていま、僕がもっとも力を入れているのが、「まったくの無名の作家志望の人たち」にチャンスと情報を届けることです。なかなかコンペで結果が出ない人、何年も頑張っているのに採用に至らない人たちは、実はほとんどが「同じ間違い」をしています。その間違いとは何か? それこそが、作曲家の“企業秘密”。でも僕は、それを本気で音楽をやりたい人に、ちゃんと伝えたいと思いました。
 

難しいことじゃありません。一番大切なのは、「人と同じことをやらないこと」、そして「あなたの音楽を確立すること」。つまり、自分の中にある音楽を、一番伝わりやすい形で世の中に届けること。

そのために必要なのは、歌詞の書き方、仮歌の依頼方法、アレンジの工夫、曲を完成させるスピード感など。そういった実践的なノウハウを共有する場所として「成瀬ゼミ」を始めました。
 

そしてこの度、成瀬ゼミから初めての「採用者」が生まれました。NMB48さんの新曲『チューストライク』Type-C収録の『もっと永遠に』を作曲した、松田貴嗣くんです。
 

彼は9ヶ月前にBINGO!に連絡をくれて、そこからずっと学びながら努力を重ね、この素晴らしい結果を掴み取りました。特にここ数ヶ月は、提出するデモごとに構成やメロディ、アレンジの精度が明らかに向上していて、僕たちもその成長ぶりに本当に驚いています。
 

ぜひこれからの松田貴嗣くんの活躍にご注目ください。本日、彼の紹介動画を公開していますので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです。



 

次の僕たちの目標は『上を向いて歩こう』のような世界的ビッグヒットを、「欧米の真似」ではない日本伝統のポップスのフォーマットで成し遂げることです。長く日本のポップスに関わらせていただいていますが、今ほど「真似っこ」の音楽が量産されている時代はないと断言できるから。作り手としてのみならず、リスナーとしても大変さみしい状況になりつつあると憂いています。
 

独自の進化を果たした日本のポップスが僕は好きです。ガラパゴスの何がいけないの? 僕はそう思っています。「みんな」が消費し尽くした「シティポップ」だって、かつてはガラパゴスの代表として誰もが扱っていたのではなかったでしょうか。