blog
お疲れ様です!
佳境の一日目、大変ですが、この感じキライじゃないんですよね。メンバーの方はぜひ配信で応援してくださいね↓
お疲れ様です!
今は夜中の2時51分。新曲のキーボードアレンジをFOUR TRIPSのaiさんにお願いしていて、LINEでの問い合わせを受けるために起きて待機しています。
歌詞はAさんから届きました。いつもながら一発で楽曲のキモを掴んで、キラーワードをど真ん中に投げ込んでくれました。やっぱりプロの作詞家は鍛えられ方が全然違います。例えば、彼女の歌詞はどれも核心をついたフレーズで、ただ言葉を並べるのではなく、感情をぐっと引き出してくれるような力があります。ライブで彼女の詞を使った楽曲を披露したとき、観客の反応がすごくて、彼女の表現力に改めて感動したのを思い出しました。「修正あったら言ってください」って彼女は毎回言うけど、アート作品に修正なんて加えられないよ。この詞をさっと書いたのか、それとも年末年始じっくり練り込んだのかはわからないけど(僕はきっと前者だと思う)、どちらにしても彼女の「生き様」が込められている人生分の年数で書かれたものなんだ。お願いしてよかった。本当に素晴らしい曲になりました。
今はアレンジの最終の詰めです。僕の作品は、一人で打ち込みで作ることはありません。必ず楽器はいつもの仲間にプレイしてもらっています。一人で作るものには限界があるんですよね。アイデアが「掛け算」にならないんです。
2000年頃にいくつかアレンジの仕事をしていたことがあって、その前はバンドのプロデュース的なこともやっていました。バンドのアレンジは、決めたら何度も練習して作り込むものだけど、スタジオミュージシャンを使う局面になると、上手い人たちをブッキングすればアレンジャーはほとんどやることがないんです。ただ全体を見て雰囲気を作ればいい。「結局ミュージシャンの腕なんだな」って妙に腑に落ちたものです。
もちろん、一人で全部作る方が早くできるんだけど、つまらないじゃないですか。みんなで作った方が楽しいんですよ。例えば、以前仲間と一緒に楽器のパートを作り込んでいたとき、ドラマーがリズムを少し変えてくれたことで、曲全体が一気に躍動感を増したことがありました。ある時は、ギタリストが「こういうフレーズどう?」って提案してくれて、それが曲の中でハイライトになる部分になったことも。ベーシストがベースラインを工夫して加えてくれると、それだけで楽曲に厚みが出るし、そういった瞬間を共有できるのが何より楽しいんです。一人で最後まで全部作り上げることへの憧れはあるけど、それでも「餅は餅屋」、ベーシストはベーシスト、ドラマーはドラマーがやった方が楽曲に強度が出るって僕は信じています。
作詞作曲もそう。一人で全部できるけど、今はBINGO!という作家チームを組んでいるから、できるだけ仲間とチャンスを共有するようにしています。一人でやった方が「分け前」は多いけど、みんなで分け合うことで曲がリリースされた際に一緒に喜べるんです。それだけじゃなく、作家たちがリリースされる曲に名前を残す経験をすることで、一つ山を越えられる。それが何よりの財産になるんだ。
そんなわけで、今日の生配信は午後からになるかもしれません。気づいたら今、3時36分。いろいろやってたらあっという間ですよ。それでも、がんばって考えて弾いてくれている仲間たちに感謝しながら、いいプレイが届くのを楽しみに待ちたいと思います。
そうそう、Netflixで『阿修羅のごとく』を一気に観ました。この作品は、家族や姉妹の複雑な人間関係を描いた群像劇で、昭和50年代を舞台にした愛憎劇です。特に印象的だったのは、姉妹同士の衝突と和解が交互に描かれるシーンで、感情の揺れ動きが本当にリアルでした。是枝裕和監督作品を彼の母国語で楽しめるのって、村上春樹さんの小説を読むときに感じる嬉しさと似てるかもしれない。僕はオリジナルを未見だったので、ストーリーの展開にもドキドキしながら観ることができました。四姉妹の話というと谷崎潤一郎の『細雪』を思い出しますが、是枝監督の名作『海街diary』も四姉妹の話。その『海街』でも高校生の四女を熱演していた広瀬すずさんが今回も末娘役を演じていました。おっきくなったなあ。
長女の宮沢りえさんの妖艶さに驚きつつ、「ああ、僕はこの人よりずいぶん年上なんだな」と妙に感慨深くなりました。次女の尾野真千子さんと夫婦役の本木雅弘さんの絶妙な掛け合いも印象的。楽しいけど恐ろしくもなるあの夫婦のやり取りが、このドラマの原動力でした。そして何より蒼井優さん。彼女は本当に世界に見つかっちゃうんじゃないかな、と思うほどの存在感。最終話のモノローグには泣けましたね。
登場人物で一番感情移入できたのが、國村隼さん演じる四姉妹の父親。娘やそのパートナーたちへの優しい眼差しに、僕もこんなふうに生きたいと思いました。
そういえば一年ほど前、宮藤官九郎さんとお酒を飲む機会があったとき、前から聞きたかったことを質問しました。宮藤さんが脚色を担当した映画『69』(村上龍さんの小説を僕は長く愛読していました)で、主人公(妻夫木聡)の父親役である柴田恭兵さんが、息子がとんでもない事件を起こした際言ったにある台詞に感動して(詳細はぜひ映画をみて確認してください、素晴らしいですよ)「ああいう親になろう!」と誓って、それだけは実践できているとの自負があるゆえ、僕にとってとても大切な台詞なんです。
「あの素晴らしい台詞、宮藤さんの創作ですか? 原作にはなかったと思うのですが...」と僕が聞くと、宮藤さん、少しお酒も入っていたので、最初は「んー、どうだったかな」なんて言ってたんですが、しばらくして突然ハッとした顔でこちらを向いて「そうだ!それ原作にはなかった台詞です、僕が作りました!」って思い出してくれて。あれはすごく嬉しい瞬間だったな。
ああ、調子に乗って2000文字以上書いちゃいました。こういう日もあっていいか。気づいたら4時を過ぎてますね。シカゴの『長い夜』を過ぎた、って毎回言ってるけど、本当に長い夜でした。さて、次はどんな音楽が生まれるのか、自分でも楽しみです。またみんなとこの旅路を共有できることを願っています。読んでくれてありがとう。
もう少し、がんばります。みんなにいい作品を届けけて、笑顔になってほしいもの。
って言ってたら、ドラマーから最高の音が届きました。餅は、餅屋です。
お疲れ様です!
どうやらリック・ルービンと僕は気が合うようです。
今、「リック・ルービンの創作術」という本を読んでいます。これがなかなか面白い。よくある「作曲法」の本とは一線を画している内容で、読んでいるとリック本人が経験を通じて得た「創作にまつわるエトセトラ」が、非常にわかりやすく、しかも文学的に記されているんです。なんというか、創作するための心持ちを描いた、よくできた詩を読んでいるような感覚になります。
例えば、こんな文章が登場します。
“アーティストとして生きることはひとつの実践だ。
あなたはそれを実践するかしないかのどちらかだ。
そういうことは得意でないという言葉は意味をなさない。
それは「自分は修行僧でいるのが得意でない」と言っているようなものだ。
修行僧であることに得意も不得意もない。
人は修行僧として生きるかそうでないかのどちらかでしかない。
私たちはアーティストが作り上げたものを、そのアーティストの作品と考えがちだ。
だが、アーティストの本当の作品は
アーティストの生き方そのものなのだ。”
(『リック・ルービンの創作術』リック・ルービン/ニール・ストラウス著 ジーンブックス刊)
「創造性を高める78の知恵」と帯にキャッチコピーが打たれているこの本ですが、まさにその言葉通り。内容のほとんどに僕は深く共感し、読んでいると「これ、誰かに伝えたいな」と感じずにはいられないんです。僕が日々、作曲や創作の中で感じていた「ぼんやりとした真実のようなもの」が、この本では美しい言葉に形を変え、そこに存在しています。
ただし、作曲や創作に関わる人以外に薦められるかどうかはちょっとわからない。僕自身が毎日作曲と創作にどっぷり浸かっている生活を送っているので、フェアな判断ができない部分もあると思います。それでも、もし作曲や創作に関わる人、もしくはこれから関わりたいと思っている人がいたら、間違いなくこの本はバイブルになるでしょう。
そして最後に、僕が座右の銘にしたいほど心に響いたリックの言葉を、皆さんにも贈ります。
”遊びを通じて簡単に出来上がった作品か、
苦心惨憺の末に出来上がった作品かは、
完成品のクオリティとは何の関係もない。”
おはようございます!
今日も札幌は雪が降ってますよー。窓の外を眺めるたびに、真っ白な景色が広がって、寒いけど、なんだか心がほっこりしますね。冬の札幌ならではの贅沢な風景だと思います。
昨日の作曲配信をご覧いただいた皆さん、本当にありがとうございます!「BINGO!~うたを作る学校」のメンバーと一緒に楽曲を作り、それを一年分まとめてチャリティアルバム『BINGO! AID』としてリリースする。これが僕たちの大切なプロジェクトであり、今年で4回目になります。
このアルバムには、メンバーそれぞれと僕が一緒に作った曲が収録されていて、どの曲も個性豊かで聴き応えがあります。みんなが少しずつ成長し、複数の楽曲を作り上げている様子を見るのは僕自身の楽しみでもあります。音楽に向き合う姿勢や努力の積み重ねが形になるのを間近で見られるのは、とても嬉しいことです。何より楽しいよね、ソングライティングって。
最近は、さまざまな作曲案件も重なっていて、なかなか思い通りに時間を作るのが難しい時もあります。それでも、この活動は僕のライフワーク。だからこそ、どんな時も丁寧に、そして真剣に取り組むように心がけています。
そして、昨日はさらに嬉しい知らせが届きました。ひとつずつの地道な努力が報われる瞬間を感じられるのは、何度経験しても嬉しいものです。この感覚をゼミ生のみんなにも早く味わってほしいなと思っています。「成瀬ゼミ」が他のDTMレッスンや作曲教室と違うところは、僕自身があなたにフルコミットすること。つまり、単なる指導者ではなく、あなたの夢や目標に、一番近くで向き合う存在でありたいという気持ちです。
作曲は技術だけでなく、その人自身がどう生きるか、何を大切にするかが表れるもの。だからこそ、それぞれの将来や夢を応援したいし、その過程を全力でサポートしたいと強く思うのです。
さて、今日も朝の生配信をやっていきますよ。昨日作曲した上田さんの楽曲に楽器を重ねて、デモに落とし込む作業を進める予定です。音が一つずつ積み重なって、曲が形になっていくその瞬間を皆さんと共有できるのは、本当に楽しい時間です。
今日も一歩ずつ。音楽という大きな旅路を、これからもみんなと一緒に楽しく歩いていきたいなと思います!
おはようございます。
昨日のZoomミーティングの振り返り配信を、たくさんのメンバーが見てくれたことが本当にうれしい。各曲について、自分なりの正直な感想や印象を話したんだけど、もしかしたらちょっと踏み込みすぎたかもしれない。特にアレンジの方向性やメロディの構成について、少し厳しいことを言った場面があったかもしれない。もしそうだったとしたら、ごめん。でも、あれは曲づくりへの真剣さから出た言葉だと思ってほしい。
とはいえ、あれはあくまで僕の視点。みんなそれぞれ好みや感覚が違うからね。ただ、ポップスの世界に長いこと身を置いてきた人間としての意見を述べただけだ。最終的な決定を下すのは僕じゃなくてクライアントさんなんだし、僕も同じ戦場を駆け回る一兵卒にすぎないんだ。
それでも、BINGO!のメンバーが選んだ曲が実際の採用結果とどんどん合致してきているのは事実だと思う。ソングライターにとって、「作る」こと以上に大事なのは「選ぶ」こと。たとえば、ある曲ではイントロのギターリフを残すべきか、それとももっとシンプルなピアノに置き換えるべきかを議論したり、別の曲ではサビのメロディを少し変えてもっと耳に残るように工夫することが採用への決め手になったりした。そのような選択の積み重ねが曲の完成度を大きく左右するんだ。そのスキルを鍛えるには、同じコンペ条件で提出された曲をミーティングで聴くのが、いちばん効果的なんじゃないかと僕は思う。
思えば。BINGO!を立ち上げて、もう三年。最初の一年は、コンペに出しても全然成果が出なかった。オリジナルメンバーの四人、つまり僕と、マツダヒロ、白井大輔、そして元少年ナイフのリツコが、ひたすら曲を聴いては率直に語り合う日々が続いた。若くもない、どちらかと言えば“オワコン”扱いされがちな音楽家の集まりだったんだけど。
そこにネロが加わってから、一気に二曲採用された。「作詞:秋元康、作曲:nelo」というクレジットのインパクトは大きかった。ネロの主戦場「パワーポップ界隈」でも、祝福の声が一斉に上がってね。正直、僕もめちゃくちゃうれしかった。令和っぽさと昭和レトロ感が混じり合った彼独特の持ち味が勝ち取ったとき、「あれ、ほかのメンバーもいけるんじゃないか?」っていう現実味が一気に増したんだ。「どうせダメだろう」というあきらめを吹き飛ばす、そういう風が吹いた瞬間だった。
天性のメロディメーカーであるマツダヒロは、53曲ものキープを経て、ようやく昨夏AKB48の「思いやり」で作家デビューを果たした。36歳だった。初採用まで三年かかった彼を不器用にも程があるって思うかい? ちなみに僕が初めて採用されたのは四年半だから、そう考えると別に遅くはないんだよ。彼は「自分が歌うためのメロディ」から「誰が歌っても良いメロディ」作りへと脱皮することで成長していった。結局、粘り強く続けられるかどうかがカギなんだよね。
一方の白井は、46歳。昨年作曲家デビュー。風輪さんの「人生TENKI」でオリコン6位に入った。僕も共作としてクレジットに名を連ねているから、いっしょに喜べたのがよりいっそううれしかった。白井とはかれこれ25年、マツダとは10年近い付き合いだ。二人とも、今までにチャンスをつかみきれなかったことだってある。それでもライブ活動や曲づくりをコツコツ続けてきた。
僕自身、シンガーソングライターとしてやっていくことがどれほど大変か、つまり、売れないシンガーソングライターで生き延びるのがどれほどきついか、痛いほどわかってる。でも、もし他の人に提供した曲が一曲でも大きなヒットにつながったら?
たとえばキャロル・キングに「ロコモーション」があるように、桑田佳祐さんに「恋人も濡れる街角」があるように、スガシカオさんに「夜空ノムコウ」、中島みゆきさんに「あばよ」、玉置浩二さんに「愛なんだ」があるように。自分のアーティストとしての活動を続けつつ、ほかの人にもヒット曲を提供できる作家に、僕はずっと憧れてきた。大人になった今でも歌えるような「君は僕だ」とか「君はメロディー」みたいな曲たちが、僕を支えてくれたんだ。
2016年に、「君はメロディー」で僕が夢見てきた「ミリオンセラー、紅白、ランキング1位」を一気に達成した。僕が48歳になるタイミングと重なったのは、ちょっと悪戯めいた偶然に思える。でも、そのあと僕は燃え尽きてしまった。「さて、この先、何を目指せばいい? またミリオン? この戦いはいつまで続くんだろう?」そんなふうに考え始めたら、どうにも足元がぐらついた。今にして思うと、あれが僕のミッドライフクライシスだったのかもしれない。
「普遍性」とは何なのか——それは僕がずっと探し続けているものだ。メロディとハーモニーには古びない力がある。
白井の曲も、松田の曲も、いつだってあたたかくて優しくて、でもどこか「オールドファッション」なムードが漂う。例えば、白井の曲にはアコースティックギターを中心とした素朴で牧歌的な雰囲気があり、松田の曲はシンプルなコード進行と耳に馴染むメロディが特徴だ。どちらも現代の派手なアレンジとは一線を画すものだけど、それが逆に心地よさを生んでいるんだ。だけど、その「オールドファッション」を「懐かしさ」に昇華できれば、大きく変わる。時代を超えた懐かしさって、やっぱり素敵だと思うし、ヒットを生み出すためのひとつの鍵なんだと思う。
BINGO!では、たとえば「ナッポゼミ」みたいにコライトに特化したワークショップをやったり、初心者でも参加しやすい「松田ゼミ」でメロディづくりを学んだりもできる。僕の担当している「成瀬ゼミ」は、今走っているコンペで結果を出すこと、そして作家それぞれのスタイルを確立すること、その両面を重視している。むしろ、コンペで結果を出すことを望むなら、作家のスタイルを先に確立することが大切だ。逆はない。
今や、作家たちが事務所というチームを作ることが当たり前になってきている。少し前では考えられなかったことだ。(もしBINGO! がその先鞭めいたものとして覚えてもらえるなら嬉しい)
船にたとえよう。僕は豪華客船より、小さなボートがいい。誰でも乗り込めるようなラフで自由な作り方がいいんだ。エリートチームじゃなく、弱小チームのほうが性に合ってるんだ。僕だって本当にポンコツだったんだ(きっと今もそうだけど)。それでもなんか、あきらめることだけはしなかったんだよね。誰に認められていなくても、僕は自分の曲の良さに気がついていたから。そして少しずつ、一曲書くごとに成長していっているのがわかったから。採用が決まった時は嬉しかったよ。自分のバンドがデビューした時よりも格段に嬉しかった。僕でもできるんだって思った。だって、自分がいかに才能のない怠惰な人間かを一番知っているのはこの僕自身だったから。そんな僕でも、奮起すれば出来るんだって。
だから、君もきっと、出来る。そう伝えたくて、BINGO! を作りました。
うまくいかないこともあるし、思わぬところでつまずいたりもするけど、それでも進んでいけば必ず変化の瞬間は訪れると信じてる。音楽は旅みたいなものだし、その一歩一歩が新しいメロディを生み出してくれる。だから、これからも一緒に歩いていこう。
ジョン・レノンが「マザー」で歌っていたじゃないか。
「子どもたちよ、僕の真似をするな 僕は、歩けないのに、走ろうとしてしまったんだ」