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B1グランプリ!振り返り配信だよ!
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
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6月7日 11:59

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ミスターは永久に不滅です〜僕のファイターズ大航海日誌 #37
成瀬英樹
成瀬英樹
6月4日 10:08

今じゃファイターズのことしか考えられないあたしだけど、タイガースと一緒に育ったのは確かだからね。対戦はとても不思議な気持ちがするし、新庄剛志も藤川球児も、あたしにとっちゃ思い入れたっぷりの大好きな選手。それが監督としてガチ対決するなんて、ほんとに嬉しくてたまんないのよ。今日は負けたけど、相手にとっちゃファイターズもややこしいチームだと思ったはずだよ。グーリンのアクシデントの後も、ブルペンが1点に抑え込んだしね。
 

そうは言ってもね、あたしがいちばんたくさん通った球場って、やっぱり甲子園だと思うんだ。
 

兵庫県の明石で育ったから、ちっちゃい頃からお父さんに連れられて、よく行ってたの。うちの父、熊本工業の出身でね、熊工が甲子園に出るたび、必ず行ってた気がするなあ。あたし自身は覚えてないんだけど、父の話によると、最初に観たのは東海大相模の原辰徳と鹿児島実業の定岡が投げ合った試合だったらしいの。オールドファンには有名な、定岡がセカンドに牽制悪送球して負けたっていう、あの試合。
 

もちろんプロ野球も連れてってもらってたよ。今でも忘れられないのが、江本孟紀さんが二打席連続でホームラン打った試合!甲子園のレフトアルプスで父と並んで座ってて、打球が2回とも目の前をビューンって横切って、子供心にめちゃくちゃ興奮したのを覚えてる。
 

……でもさ、大人になってから「ほんとにそんなことある?」って、自分の記憶がちょっと怪しくなって。だって江本さんってピッチャーだよ? でもね、ある日ラジオで江本さん自身が「二打席連続で打ったことあるよ」って話してて、そのとき一気に記憶がつながったの。調べたら昭和51年の5月5日だった。あたし、小学二年生。
 

うちの父ね、巨人のレジェンド川上哲治さんと同じ高校なのに、めっちゃアンチ巨人で。あたし自身は、最初はどこのチームでもいいって感じだったなあ。あの時代、誰もがテレビで野球観てたし、放送はだいたい巨人戦だったから、「巨人がんばれ」か「くたばれジャイアンツ」か、どっちかに分かれるのは仕方ないよね。けど思うの、アンチ巨人って、結局すっごい巨人ファンなのよ。
 

あたしたちの頃のヒーローといえば、やっぱり王貞治さん。今の大谷翔平くんみたいな存在っていうか、それ以上のオーラがあったかもしれない。メジャーリーグの本塁打記録、ベーブ・ルースとかハンク・アーロンとか、どんどん塗り替えてく姿に、ファンもアンチも関係なく熱狂してた。715号も、756号も、あたし覚えてるもん。
 

長嶋茂雄さんはね、あたしが観る前に引退しちゃってて、現役時代は知らないんだ。でも父や周りの大人たちから、ずーっと話は聞いてた。「長嶋のようなスターはもう現れない」ってみんな口を揃えて言ってたなあ。実際にはさ、スター選手はその後も山ほど出てきたけど、でもその世代にとっては、長嶋こそが唯一無二のスーパースターなのね。それでいいと思うのよ、ほんとに。
 

今日の試合前に、長嶋さんを偲んで黙祷を捧げたとき、エスコンの観客が約一分間、完全にシーーンとしたでしょ。交流戦で関西からたくさん阪神ファンが来ててさ、試合前からドンチャン大盛り上がりしてたんだけど、黙祷では本当に誰もが厳粛にしてたの。あたし、いいなって思った。長嶋さん、あなたが盛り上げて国民的娯楽にまで押し上げてくれたこの国のプロ野球は、今もこんなに愛され続けていますよって、ちょっとホロっとしちゃったの。
 

僕のファイターズ大航海日誌 #34 #35 #36
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
6月3日 4:36

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成瀬の決意表明の巻
メンバー クリエーターズ 成瀬英樹ゼミ 〜プロ作曲家養成〜 成瀬英樹ゼミ 分割プラン 旧プロ養成コース
成瀬英樹
成瀬英樹
5月30日 10:13

おはようございます!
 

今日も配信から始めます! 札幌はとってもいいお天気、暖かいです!

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適材適所〜僕のファイターズ大航海日誌 #33
成瀬英樹
成瀬英樹
5月28日 11:23

久しぶりに業界随一のやり手、Kiyoshi Sunrise と電話で話した。相変わらず爽やかで、話が早い男。あたしがやってる「作曲ラボ」を卒業する作家を引き受けてくれないかって、頼んでみたんだ。
 

もちろんその作家は、あたしらが一から育ててきた子。最初に届いたデモを聴いて、あたしすぐ電話かけて言ったのよ。――このままじゃ全然ダメだよ、って。打ち込みはまあまあできてるし、一応曲の体裁はある。でもさ、「ポップス」としての土台が弱いの。たぶん、この状態でもコンペには出せるかもしれないけど、採用はまず無理――そう言ったの。
 

彼、それまで何件も事務所にデモを送ってたらしいんだけど、どこからも返事がなかったんだって。それでも「厳しく指摘してもらえるのはありがたいです。ぜひユウキさんのもとで学びたいです」って言ってくれてさ。
 

そこから彼はね、非凡なセンスを見せてきて、しかも謙虚に学びながら、コツコツ楽曲コンペに挑戦し続けたの。で、ある日とうとう初めてのキープが採用になった。メジャーアイドルのシングルのカップリング曲。いやもう、すごくない?
 

この世界、やっぱ実績がすべてなんだよね。たった一曲って思うかもだけどね、「イチ」と「ゼロ」にはとんでもない差があるの。その「イチ」を彼は掴んだ。だからウチで続けてほしい気持ちもあるんだけど、彼の将来を考えるとやっぱりKiyoshiの事務所がぴったりだと思ったわけ。
 

「もちろん作家は募集してるけど、ユウキさんはいいんですか? せっかくそこまで育てたのに」
「いいんだよ。案件はKiyoshiのほうが多いし、ウチは王道ポップスや歌謡曲が中心。彼はもっとアイドルに曲を書きたいみたいだし」
「ユウキさん、相変わらず商売っ気ないっスね。ウチとしては助かりますけど」
 

「で、札幌はどうですか?」
「楽しいよ。毎日野球観てる。こっち来るときは連絡して、案内するから」
「行きたいっスね。北海道なんて10年以上行ってないなあ」
「逆にあたしがそっち行ったら連絡するわ。こないだ北山くんとやったセルフカバーのライブ、またやんなよ」
「あんときは来てくれてありがとうございました」
「Kiyoshi、歌よかったよ。作曲家や社長の前に、やっぱあんたは歌手だと思った」
「恥ずいっスよ。もう歌は遊びっス。でもまた歌ってみたんで、YouTube観てくださいね」
 

「ところで」とKiyoshiが言う。「ユウキさん、いくつになったんですか?」
「57……あ、まだ56だ」
「そっか、ちょうどオレの10こ上ですね。オレらももうずいぶんベテランになっちゃいましたね」

 

負けは仕方ない。でもホークスにやられるのはやっぱり癪なのよ。特に今夜は大好きな池ちゃんが延長十一回に一発を浴びて負けたから、気が収まらなくて七つ星横丁のカウンターでビールあおってた。そしたらさ、案の定、あいつがいたのよ。顔まっかっか。
 

「よう、満里奈似」
「お、今日はどこで観てたの?」
「応援団してたよ。延長は疲れるな」
「新庄さん、ほんと肝が座ってるよね」
「ああ、新人右腕のイーレイな? プロ入り初登板が同点の9回なんて、ベテランでもちびる場面でさ」
「ハタチなんだって? いずれメジャーを夢見てるらしいね」
「今日も初登板の顔じゃなかった。『なんぼのもんじゃい』ってホークス打線を見下ろしてたよな」

「あのさ」
「何?」
「ずっと満里奈似って呼ぶのも変だろ? あんたの名前、教えてよ」
 

名前ね……。ペンネームならいくつかあるのよ。ほんとはそんなのつけたくなかったけど。苗字も変わったり戻ったりしたし。ほんとは戻りたくなんてなかったけど。
 

あたし、ふざけて「名前? あだ名ならあるわ」って歌ってやったの。そしたら彼、笑って「古いね」って言った。目の前のこの男の名前すら、あたしは知らない。でも、それでいい。この男の前では、あたしの名前は満里奈似でいいのよ。