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おはようございます。昨日はラジオ番組『POP A to Z』の収録をしておりました。現在放送中の特集「グレート・ソングライター・ファイル」、ついにキャロル・キング&ジェリー・ゴフィンの巻!
この「グレート・ソングライター・ファイル」で取り上げているアメリカのソングライターのなかでも、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンは、J-POPにもっとも直接的な影響を与えている存在かもしれません。そして何より、「シンガーソングライター」という言葉そのものが、彼女のために生まれたといっても過言ではありません。つまり、私たちが普段何気なく使っている「シンガーソングライター」という言葉は、もともとキャロル・キングを指していたのです。
そして、ポップスの源流とも呼べる最重要曲が、彼女とゴフィンが手がけた『Will You Love Me Tomorrow』。シュレルズが歌い、黒人ガールグループとして初の全米No.1を記録したこの楽曲は、ビートルズ登場以前のポップスの原点とも言える一曲です。
この曲の成功で、まだ10代だったキャロル・キングとジェリー・ゴフィンは一躍スターソングライターとなりました。その後、ふたりはしばらく黄金期を過ごしますが、そのアメリカンポップスの時代を塗り替えてしまったのが、イギリスからやってきたバンド──ビートルズでした。
ビートルズは自分たちで曲を書き、自分たちで演奏し、自分たちで歌いました。専業作曲家が必要なかったのです。その作曲クレジットは「レノン=マッカートニー」。これは、キング&ゴフィンやリーバー&ストーラーといったソングライターチームへの憧れから生まれた、「どちらが書いても二人の名前で発表しよう」という約束に基づいています。つまり、キャロル・キングたちは、後に自分たちに影響を受けた若きアーティストたちに仕事を“奪われて”いくわけです。その皮肉さも、音楽史としてとても興味深いものです。
ですが、キャロル・キングはそこで終わるような人ではありませんでした。60年代にはモンキーズなどに楽曲を提供しつつ、しだいに自ら歌う方向へと(本人は最初は乗り気ではなかったようですが)シフトしていきます。1968年には「シティ」というバンドを結成。これは隠れた名盤として知られ、私も常にターンテーブルのそばに置いているほどのお気に入りのアルバムです。
そしてついに、ソロシンガーとしてデビュー。ジェームス・テイラーやジョニ・ミッチェルと並び称されるようになり、「シンガーソングライター」と呼ばれるようになりました。ただし彼女の場合は、もともと作家であり、「作家が歌うようになった」結果としてのシンガーソングライターだったのです。歴史の流れで言えば、ビートルズが解散し、華やかで政治的だった60年代が終わったあとの「内省の時代」。またここで、ポップスの登場人物たちが入れ替わるのです。面白いですよね。
そんな彼女が世に送り出したセカンド・アルバムが名盤『Tapestry(つづれおり)』。もはや説明のいらないほど有名な一枚ですが、それでもお若い方や洋楽をあまり聴かない方の中には、まだ知らないという人もいるかもしれません。私は声を大にして言いたいのです。「どんなビートルズやビーチ・ボーイズや、その他の名盤よりも、まずはこれを聴いてください」と。特にソングライターを目指す方、いい曲を書きたいと思っている方には、なおさらです。
このアルバムが素晴らしいと感じられるようになること──その心のチューニングこそが、「普遍性」を理解する第一歩になると私は思っています。なぜなら『Tapestry』は、全世界で2200万枚以上を売り上げ、今なお数えきれないアーティストに影響を与え続けているからです。その影響は、世代を超えて広がっています。
このアルバムには、R&Bやガールズポップ、そして内省的なシンガーソングライターの要素までもが凝縮されています。先ほどの『Will You Love Me Tomorrow』のセルフカバーや、アレサ・フランクリンに提供した『(You Make Me Feel Like a) Natural Woman』なども収録されています。
そんなキャロル・キングとジェリー・ゴフィンの特集を、たった30分にまとめるのは正直とても難しかったです。私は彼らの大ファンで、これまで7年の番組の中で何度も彼らの曲をかけていますので、曲の重複を避けるのも至難の業でした。だから今回は、初めてキャロル・キングを聴く方のために、選曲を一から見直しました。
今週土曜日、22時30分から放送の『成瀬英樹のPOP A to Z』。「グレート・ソングライター・ファイル」特集、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィン。ぜひ楽しみにしていてくださいね。
そして夕方には、新しい曲の作曲生配信も収録いたしました。ナッポさんが制作されたトラックに、私がメロディーをのせていくというスタイル。かなりマニアックな内容にはなりましたが、トップライン制作に関心のある方には、きっと参考になる部分もあると思います。
続けて、『BINGO! AID 2025』のためにsproutさんが書いてくださった歌詞に、メロディーをつけていきました。こちらはいわゆる「詞先(しさき)」のスタイルです。詞先で曲を書くことは、作曲の基本を見直すうえでもとても大切なレッスンになると私は考えています。
そもそも日本のポップスというのは、詞先が主流だった時代が長かった。詞を読んで、その世界観を音楽で表現する。とてもシンプルですが奥深く、だからこそ作曲力が鍛えられる。特に初心者の方にとっても、大きな気づきを与えてくれる手法だと思っています。
今回の制作でも、とてもいい曲が生まれましたよ。お楽しみに!それでは、お互いに今日も一日がんばっていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
野球仲間のMOBYとの動画が好評で、とても嬉しく思っています。自分でも何度も見返してしまうほど、面白い動画になりました。野球好きの方なら、きっと一緒に楽しんでもらえるはずです。
何より、この二人の——まあ、言ってしまえばおじさんミュージシャンが——少年のように大好きなものを語るというのは、なかなか貴重なもの。僕自身、人前でここまで野球のことを語ったのは初めての経験でした。とても楽しく、大切な時間になりました。まだご覧になっていない方は、ぜひ観ていただけたら嬉しいです。
2017年、僕がDAZNの解説者になった時、最初にしたことはiPad Proを買うことでした。そのiPadを、つい先日まで8年間使い続けていました。物持ちがいいにもほどがありますね。画面が割れてもガラスを貼り、ボロボロになって娘に「買い替えないの?」と笑われながらも、手放せなかった。理由は単純で、愛着があったからです。
2017年の1年間、楽しくも大変だったDAZNの解説で、共に過ごした相棒のような存在のiPad Pro。ライブでは譜面がわりに、カフェで原稿を書くときはタイプライターがわりに。僕の仕事を支えてくれました。そんなiPadをついに手放し、新しいiPadを購入しました。これからはこいつが僕の仕事をしっかり支えてくれるはずです。
昨日は、その新しいiPadでスコアをつけつつ、エスコンフィールドで試合を観戦しました。基本的に、僕はいつも一人で観ています。もちろん、北海道に友人が来たときは一緒に観戦することもあります。去年も何組かの友人が札幌に来てくれた際、エスコンで一緒に試合を観ました。でも、基本は一人です。
で、昨日ね、試合を観ている最中、ふと寂しさを感じました。「俺、ここで何をしているんだろう」と、ふっとね。
昨年、北海道に移住したばかりの頃も、同じような気持ちになったことを思い出します。当然ですよね、誰も知った人のいない街で一人で暮らすことは、なかなかのことです。そんな時期にエスコンフィールドで、当時まだ名前もよく知らないファイターズの選手たちを見ながら、一人ずつ覚えていきました。毎日通ううちに、彼らは僕の寂しさを埋めてくれる、家族のような存在になっていました。そんな彼らが戦いの中で力をつけていき、ドラマチックなシーズンを過ごしたんだ。目が離せないのも当然でしょう。
今年もまた、こうして時折寂しさを感じることがあるのでしょう。でも、それでいいんです。
札幌には、知り合いも友人もほとんどいません。顔見知りといえば、せいぜい通っているカフェのオーナーくらいのもの。それでも僕は積極的に作ろうとも思っていない。なぜなら僕は「一人になるために」ここに来たのです。じっくりと物を考え、クリエイティブに集中するために。ここからの4、5年は、僕にとって本当に大切な時間になる。腰を据えて、作品を作りたい。音楽に限らず、文章を書くことも含めて。
とはいえ、札幌に来てからというもの、ありがたいことに弊社BINGO!の仕事が順調で、楽曲のご依頼やコンペも順調だったりして、想像以上に忙しくなっています。おかげさまで、今も多くの締め切りを抱えています。とても嬉しいことです。皆さん、どうぞ楽しみに待っていてくださいね。いい作品を書きます。
仕事をしている間は、寂しさを感じる暇はほとんどありません。そもそも、僕は「何かから逃げるために」ここに来たわけではない。自分の意思で選んだ道です。家族や友人とはオンラインで繋がっているし、BINGO!のメンバーもいます。ただ、シンプルに、隣に誰もいないという事実が、時折無性に寂しくなるだけです。
でも、その「孤独」が、僕にとっては創作に欠かせないものだということを、これまでの人生で痛感してきました。人は、深い寂しさの中からこそ、何かを生み出せるのではないか。少なくとも、僕はそう信じています。
さて、春がやってきます。BINGO!の新プロジェクトも動き出します。今日はラジオの収録を終えたら、配信も予定しています。タイミングが合えば、ぜひ生でご覧ください。もちろん、アーカイブでも楽しんでいただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
BINGO! メンバー限定配信です!
お疲れ様です。
今朝は朝までずっと仕事。締め切り前だから、作家のみんなやゼミ生の楽曲の最後のブラッシュアップをしていたら、やっぱり朝になってしまう。どうしても締め切り前はこうなる。
ここ二日間は体力的にはかなりキツかった。でも、気持ちは最高だ。自分からもいい作品が生まれているし、ゼミ生のみんなも素晴らしい曲を書いてきている。そして、BINGOの作家たち――ネロ、松田、白井――みんな本当に成長してる。
俺たちBINGO! は、もともとは完全にアンダードッグだった。映画『がんばれ!ベアーズ』を自分たちのモチーフにしていたけれど、3年が過ぎ、気づけば立派なチームになった。みんな本当に良い曲を書いているし、それがどんどん世の中に出ていく。メジャーレーベルの楽曲も、ライブアイドルのための曲も、続々とリリースされている。本当にうれしい。
思えば、中学生の頃から音楽の仕事に憧れて、その道をずっと歩いてきた。今、こうして素晴らしいチームをオーガナイズして、僕たちの音楽が誰かの人生に役立っているのなら、楽しく明るくできているのなら、こんなに素敵な仕事はない。
僕の周りのプロの作家たちは、みんな本当にずっと仕事をしている。この作業を「仕事」と呼ぶのなら、それはもう、起きている時間のすべてが仕事だ。でも、それが苦しいわけじゃない。むしろ、僕たちはクレイジーなまでにこの仕事を愛している。大げさじゃなく、心からそう思う。
今夜はまた、全体ズームでみんなの曲を聴き合う時間。とても楽しみだ。僕も今週、3曲作った。一番忙しいヒカルさんやナッポさんは、それぞれ4曲ずつ。どうなってるんだろうね、このペース。でも、自分の仕事を愛する人は、どうすれば良質な作品をたくさん生み出せるかを、ずっと試行錯誤し続けている。
BINGO! の作家のみんなも、ゼミ生のみんなも、焦らなくていい。僕たちがどうやって普段生きているのか、どうやって音楽を作っているのかを見て、何か少しでも人生の役に立ててもらえたら、それが一番うれしい。
今日は少しゆっくりして、夜のズームミーティングに備えようと思う。
最近、成瀬ゼミには新しいメンバーが加わる一方で、レベルが上がってきたことで辞めていく人もいる。でも、それはそれでいいと思う。続けることも大事だけど、「無理だな」と諦めることも大切だ。歯が立たないと思う瞬間は、決して無駄じゃない。
僕も、かつては「歌を歌ってスターになる」ことを諦めた。自分が前に出るのではなく、作る側として努力すれば、道が開けるんじゃないか。いや、それしかなかった。どうしても音楽で生きていきたかったから、高校も辞めた。もし今、僕が音楽を投げ出したら、17歳の頃の自分に嘘をつくことになる。
あの頃の僕が今の僕を見たら、どう思うだろう。
きっと「お前、よくやったな」と言ってくれると思う。
だから、これからもロックンロールを続ける。今日も「WAR IS OVER」のTシャツを着ている。最初に感じた熱い気持ちを、ずっと持ったまま。
音楽を作って、生きていく。
引き続き、よろしくお願いします。
お疲れ様です。昨日からずっと曲を作り続けています。
朝から晩までメロディと向き合って、ひたすら音を積み上げていく日々。部屋の中にこもりっぱなしで、気づけば何日も外に出ていませんでした。けれど、不思議と苦じゃない。音の中にいると、時間の流れが普段とは違って感じられるというか、作業の合間に「もう夜か」とか「いつの間にか朝がきたな」と思う瞬間が、ちょっと特別に思えたりします。
そんな中、今日は久しぶりに外に出ました。
少しレコードを買って、神戸から札幌に出張で来ていた友人とランチへ。ビュッフェを楽しみました。
ずっと仕事場にこもっていると、世界がそこだけになってしまいがちだけど、こうして外に出て、人と話して、美味しいものを食べると、やっぱりリフレッシュになりますね。
とはいえ、札幌の街はまだまだ雪景色。寒いし、あんまりうろうろする気にはなれませんけどね。
そうそう、さっきテレビをつけたら、東京ではもう桜が咲いてたね。
すごいですね。こっちはまだ真冬ですよ。昨日もかなり雪が降ったし、今朝も外を見たら、しっかり積もっていました。おとといくらいに一度全部溶けて、「もしかしてこのまま春になるのかな?」なんて思ったんですが、そんなに甘くはなかったですね。
季節が行ったり来たりする感じが、なんだかドラマチックで面白いなと思います。
そんな中、創作は楽しく進んでいます。
昨日の夜、すごくいい動画を一本収録しました。トップラインをつけている様子を記録したものなんですが、深夜の作業だったので、かなり真剣モード。集中していると、どうしても言葉が鋭くなったり、少し熱くなりすぎたりすることがあります。途中でちょっと穏やかじゃない「なるちゃん」になったりもしていますが、それも含めて楽しんでいただける方に見ていただけたらと思います。
あくまでも、自分を鼓舞するために発した言葉なので、そういうのが苦手な方はスルー推奨です。
音楽を作るって、楽しいけれど、時にはなかなかうまくいかないこともあります。でも、少しずつ形になっていく瞬間がある。そこにたどり着いたときの感覚が、やっぱりやめられないんですよね。
今回も、いい曲ができてきています。この瞬間が一番ワクワクする。
またみんなで聴き合うのが楽しみです。自分の中から生まれたメロディが、誰かの心に届く。そんな日を夢見て、今日も一歩ずつ進んでいきます。
引き続き、頑張っていきましょう。